29話 ページ37
マレウスside
翌朝＿＿＿＿＿＿
いつもより早く目を覚まし身支度を済ませると、予め用意させていた軽食をトレイに乗せる。
燭台の灯りと昇り始めた朝日の薄明かりだけが照らす廊下に出ると、季節感も相まって肌寒さを感じた。
Aの部屋の前に立ち、ドアを数回ノックするが返答は無い。まだ起きるのには早い時間だ、寝ているかもしれないが様子だけでも見ておこう。
そんなことを考えながらドアノブに手をかけ、ゆっくりと開く。中はまだ薄暗いが、廊下より暖かいことにホッとする。昨夜暖炉を付けておいて正解だった。
『……誰？』
ﾏﾚｳｽ｢僕だ｣
部屋に足を踏み入れてすぐにAの声が聞こえ、返事を返す。テーブルにトレイを置きながら、彼女の様子を伺う。窓辺に立ち、外の景色を眺めていたようだ。
ﾏﾚｳｽ｢目覚めが早いな…よく眠れたか？｣
『えぇ、お陰様で』
ﾏﾚｳｽ｢君の食べられそうなものを持ってきた、好きな時に食べるといい｣
『ありがとう』
短い会話を交わしながらティーセットを2つ用意し、モーニングティーを注ぐ。目覚めに丁度いい爽やかな香りが漂う。
『良い香りね』
ﾏﾚｳｽ｢君は確かストレートを好んでいたな｣
『…え？』
ティーカップを受け取ろうとした彼女の手が止まり、僕は顔を上げる。儚く揺れる瞳と目が合う。
しまった＿＿そう思ったのも束の間、Aは訝しげに僕を見つめ、問いかけてくる。
『私、ストレートが好きだったの？』
ﾏﾚｳｽ｢……すまない｣
視線を逸らし答える。
そうだ、彼女に嘘をつく理由なんて無い。後ろめたい事だって何一つないというのに。
なのに、どうして……僕は謝っているのだろう。
『どうして謝るの？』
ﾏﾚｳｽ｢いや…｣
あぁ、頭が痛い。
『マレウス、大丈夫よ』
ﾏﾚｳｽ｢……｣
『ありがとう、教えてくれて』
Aの意外な返答に、僕は再び目を向けた。
彼女は柔らかな微笑みを浮かべ、僕の手を握る。
『私の好みを覚えてくれていて嬉しいわ。
以前もこうして、一緒にお茶を飲んでいたのね』
ﾏﾚｳｽ｢あぁ…そうだ、菓子は甘いものを好むのに、紅茶はいつもストレートティーだった｣
『ふふっ、そうだったの？』
Aは上品に笑いながら、モーニングティーを一口飲む。その様子にホッと胸をなでおろし、僕も紅茶を飲んだ。
僕は何を、
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Rin(プロフ) - 続きが楽しみです 更新頑張って下さい (2023年4月20日 2時) (
レス) id: a3128229fd (このIDを非表示/違反報告)
出雲(元あやりん) - 若様ｧｧｧ！若様と誓いしていたなんて。おっし若様、アタシと結婚しまs((若様好きすぎて暴走してしまった。すk(((殴。すいません面白いですし、好きです (2021年10月22日 21時) (レス) @page21 id: afcb507146 (このIDを非表示/違反報告)
三月アリス - めっちゃ好きです！マレウス様かわいい！ (2020年9月7日 10時) (レス) id: 742f423e47 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (2020年9月3日 17時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - え？めっちゃ好きです！！更新楽しみに待ってます！ (2020年8月20日 17時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：毘張 | 作成日時：2020年7月30日 1時
