◇夢で見たのは ページ36
ユウside
不思議な音を耳にし、僕は目を開けた。
真っ白で先の見えない空間に、ぽつんと立っていた。
これは、あの夢だろうか。
リドル先輩やレオナ先輩たちの時と同じ、どこか遠い世界の夢を見ているのだろう。
ぼんやりとした頭で考えると、爽やかな花の香りが漂ってくる。
後ろを振り向くと、色とりどりの花が咲き誇る大地が広がっていた。
辺は木々に囲まれ、太陽が優しく光を浴びせている。暖かい風は頬を撫でるように、僕に吹きかけられた。
そんな花畑の真ん中に、小さな少女の姿を見つけ目を細める。
(…あの子は?)
陽の光に照らされ煌めく白髪が、そよ風に合わせてさらさらと揺れる。その可憐な姿に、僕は思わず見とれてしまう。
すると、僕の耳に少女の綺麗な歌声が聞こえてくる。
鈴のように凛と鳴り、笛のように澄んだ音色が心の奥深くに届く。綺麗な歌声に、僕はそっと耳を傾け聞き入っていた。
(…!誰か来る)
背後から足音が聞こえ咄嗟に身を潜めた僕だが、夢の中の人物たちに僕の姿は見えていないことを思い出し、そっと顔を上げる。
黒いマントに身を包んだ誰かが僕のすぐ横を通り過ぎ
、少女の元へと向かって行く。その姿はぼやけていて、どんな人なのかは分からなかった。背丈からして、男性だろうか。
「___、お茶の時間にしよう」
「えぇ、今行くわ」
黒い人が話しかけ手を差し出すと、少女は笑顔でその手を取り立ち上がる。ふたりは楽しそうに笑いながら、花畑を去って行く。
そんなふたりを見送っていると、遠くの森の木々に隠れるようにして見つめる人影が目に入った。
何故だかその人の顔だけがやけにリアルに見え、ゆっくりと近づいてその表情を伺う。
その
ユウ「______ハッ!」
勢いよく体を起こし、顔に張り付いた前髪をかき上げる。
ユウ「…あ、なんだ…夢か」
さっきまでの光景が頭から離れない僕は、ゆっくりと薄暗い室内を見渡す。掃除はしているものの、相変わらずのオンボロさに安心した。
今の夢は、いつもとは少し違うように感じる。
景色が鮮明に映り、風や匂いを感じることが出来たのは今回が初めてだった。
時計を見ると、まだ4時過ぎ。
起きるのには少し早い時間だったため、コップに注いだ水を飲み干し、僕はまた眠りについた。
…夢で見たあの人の表情は、頭からすっかり消えていた。
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Rin(プロフ) - 続きが楽しみです 更新頑張って下さい (2023年4月20日 2時) (レス) id: a3128229fd (このIDを非表示/違反報告)
出雲(元あやりん) - 若様ァァァ!若様と誓いしていたなんて。おっし若様、アタシと結婚しまs((若様好きすぎて暴走してしまった。すk(((殴。すいません面白いですし、好きです (2021年10月22日 21時) (レス) @page21 id: afcb507146 (このIDを非表示/違反報告)
三月アリス - めっちゃ好きです!マレウス様かわいい! (2020年9月7日 10時) (レス) id: 742f423e47 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (2020年9月3日 17時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - え?めっちゃ好きです!!更新楽しみに待ってます! (2020年8月20日 17時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:毘張 | 作成日時:2020年7月30日 1時