26話 ページ33
マレウスside
話をしているうちに、少しずつだがAが調子を取り戻したように見える。
まだ昔のようにはなれないが、“ハグ”というスキンシップの機会を彼女の申し出から得ることができ、僕の心は踊るように跳ねていた。
しかし、いかなる時でも彼女の前では平常心を保たなくてはならない。怯えさせ、心が離れてしまっては元も子もないからだ。
ようやく手元に手繰り寄せたのだ。
あとはゆっくりと、糸を引っ張るだけ……
愛でるように微笑むAを見つめていると、僕はあるものに気付いた。
マレウス「A、そのペンダントは…?」
『これ?目覚めた時から首にかけていたの。
私の物かは分からないけど、何故か外せなくて…』
そう言って、彼女は首に下げた銀のペンダントを僕に見せる。花柄の細工が施された、ロケットペンダントのようだ。
『何か知らない?』
マレウス「…………いや」
…………僕は
あまり高価なものには見えないが、結婚式の前に誰かから贈られた物だろうか。だとしても、花嫁への贈り物にアクセサリーなど選ぶ怖いもの知らずがいるのか?
……
心の動揺を表すかのように、パチパチと暖炉の火が燃え上がる。
『マレウス…?』
彼女は黙りこくる僕の顔を、心配そうに見つめる。
ハッとして、僕は咄嗟にペンダントを指先で掴む。
マレウス「外そう」
『え?』
マレウス「外す」
言った傍から、僕は平常心ではなくなった。
困惑するAを他所に、首に手を回し金具を捻じる。ギリギリと金属の擦れる音が、やけに耳元に響く。
壊れたっていい。構わない。惜しくも無い。
Aが身につけるものは、全てが僕からの“贈り物”でなければダメなんだ。
マレウス「………」
どれだけ力を込めても、ペンダントは一向に外れない。それどころか、より頑丈になっていく気がした。
ならば魔法で…と一瞬頭によぎるが、Aに危険が及ぶかもしれないと思い、悔しくも断念し手を離す。
平常心を、保っていなければならないのに…
何故だが、ペンダントに触れた手が震えていた。あのペンダントから、誰かの魔力を感じる。
…誰だ、“そこ”にいるのは。
彼女の華奢な肩に、何かが絡みついている。
まるで僕からAを守るように、それは確かに
…僕を見ていた
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Rin(プロフ) - 続きが楽しみです 更新頑張って下さい (2023年4月20日 2時) (レス) id: a3128229fd (このIDを非表示/違反報告)
出雲(元あやりん) - 若様ァァァ!若様と誓いしていたなんて。おっし若様、アタシと結婚しまs((若様好きすぎて暴走してしまった。すk(((殴。すいません面白いですし、好きです (2021年10月22日 21時) (レス) @page21 id: afcb507146 (このIDを非表示/違反報告)
三月アリス - めっちゃ好きです!マレウス様かわいい! (2020年9月7日 10時) (レス) id: 742f423e47 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (2020年9月3日 17時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - え?めっちゃ好きです!!更新楽しみに待ってます! (2020年8月20日 17時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:毘張 | 作成日時:2020年7月30日 1時