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19話 ページ26

マレウス「寝付きの悪い僕のために、子守唄を歌ってくれたりもした。

心に澄み渡る、真水のような綺麗な歌だ」


リリア「彼女は歌が上手くてのう……マレウスはその歌を聞くのが大好きだったんじゃよ」


セベク「そ、そんなに好いておられたのですか…!」


シルバー「おふたりがそこまで仰るほどに、素晴らしい女性だったんですね」


リリア「あぁ本当に。…マレウスに見合うあれ以上の女子は、どこを探してもおらんよ」


シルバー「……?」



顎を手に乗せ、マレウスと同じくAを見つめるリリア。



父親のその眼差しに、シルバーはパチパチと瞬きする。



マレウス「僕とAの結婚が決まった時は、本当に嬉しくて…父母もおばあ様も、みんな心から喜んでくれた。

僕は持てる全てをかけて守ろうと、Aのために生きようと誓った。

準備は滞りなく進み……式の前日、僕は彼女に内緒で花嫁の控え室に贈り物を送ったんだ」


シルバー「贈り物?」


マレウス「…彼女のように美しく咲いた、“白薔薇の花束”___」



そこまで言って、マレウスは突然黙ってしまう。



セベク「若様…?」



少女の左手を握り、項垂れるマレウス。



マレウス「……どうして」


シルバー「マレウス様?」


マレウス「どうして、白薔薇の花束(あんなもの)を…送ってしまったんだろう……」



その声は酷く小さく、けれど怒りの篭もった震え声。



マレウス「…当日、その日はちょうど…Aの16歳の誕生日だった」


シルバー「……え?」




途切れ途切れに明かされる内容に、シルバーは小さい頃に聞かされたあるおとぎ話を思い出す。



一国のお姫様が魔女の呪いで、16歳の誕生日に永遠の眠りについてしまう話。



原因は確か………



マレウス「結婚式が始まる直前、花嫁の控え室前には使用人が集まって騒ぎ立てていた。

一向にAが現れないからどうしたのかと、僕は自ら控え室に迎えに行ったんだ…。






部屋に入ると、Aはウエディングドレス姿で眠っていた……」



マレウスの一言に、セベクとシルバーは無意識に息を止める。



マレウス「指先には何かが刺さった傷跡と血が流れていて、控え室の中で指が刺さるものなんて、白薔薇(あれ)以外無かった……」



今まで聞いた事のないような弱々しい主君の姿に、セベクはなんと声をかけたらいいのか分からなかった。

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Rin(プロフ) - 続きが楽しみです 更新頑張って下さい (2023年4月20日 2時) (レス) id: a3128229fd (このIDを非表示/違反報告)
出雲(元あやりん) - 若様ァァァ!若様と誓いしていたなんて。おっし若様、アタシと結婚しまs((若様好きすぎて暴走してしまった。すk(((殴。すいません面白いですし、好きです (2021年10月22日 21時) (レス) @page21 id: afcb507146 (このIDを非表示/違反報告)
三月アリス  - めっちゃ好きです!マレウス様かわいい! (2020年9月7日 10時) (レス) id: 742f423e47 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (2020年9月3日 17時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - え?めっちゃ好きです!!更新楽しみに待ってます! (2020年8月20日 17時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:毘張 | 作成日時:2020年7月30日 1時

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