茨の竜王と眠り姫【ツイステ】

11話 ページ15

Aside






＿＿＿＿＿＿久しぶりに、外の世界に触れた。






外に出ると、そこは魔法士の養成学校だった。



『…………』



確か名前は、ナイトレイブンカレッジ……



私は何故、あの部屋に閉じ込められていたんだろう？



何も…思い出せない。



ただ……一年に一度、この日にだけ目を覚まし、あの狭い部屋で夜明けが過ぎるのを待つばかりだった頃に比べれば、記憶が無いなんて些細なことだ。



『…綺麗』



目の前にある大きな月が、ひとりぼっちな私を優しく包み込んでくれる…そんな気がした。






……でも、なんでだろう






…………前にも、こんな景色を見た気がする






誰かと一緒に……






その時、私の頭の中に何かが流れ込んできた。



『……』



……歌？



そう、そうだ。



私、歌が好きだった。



歌を歌えば、みんなが喜んでくれから。



あの人が、好きだと言ってくれた…………









『……あの人って、誰？』









分からない。






けど、気付けば私は、頭の中に流れる歌を口ずさんでいた。







《時のゆりかごで 優しい歌が聴こえる》








聞いたことも無いはずなのに、次々と歌が流れ込んでくる







《夢見るは 在りし日の記憶》








私の歌声が、学園中に響き渡っていく









《冷たい音がする 涙の色が見える》









つよく、強く、心の内から何かが叩く音がする









《憶えている 私は全てを》









違う…私は何も知らない(・・・・)………









《今こそ果たそう》









知らない……はずなのに…………









《竜の誓い(・・・・)》









どこか遠くから、誰かの声が聞こえた気がした









『……なに、これ』









いつの間にか、私の周りには黄緑色の淡い光が漂っていた。





光の粒は、ゆっくりと私に近づいてくる。






神秘的とも言えるその光景を見つめていると……









？｢……………A｣

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