【REBORN】雪の灯火part8 (ページ10)

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289話ページ10

「ムム、どうやらその武器は相当大事なもののようだね」

「！ダメ」

サッと抱え直すが、ここはすでにマーモンさんの幻術世界

マーモンさんがグッと手を握りしめた

「ダメーッ！！！」

彼女な悲痛な声とは裏腹に、三叉槍は粉々に砕け散ってしまった

そして

「！！がはっう！」

「え！？ええ！？」

『っクロームさん…！』

突然彼女は吐血し、床に倒れ込んでしまったのだ

みるみるうちに顔色が悪くなるクロームさんにその場の雰囲気が響めく

「ど…どーしたんだ！？顔が、土色に…」

「お…おい！！あれを見ろ！！腹が！！」

『！！！』

了平くんの焦りを含んだ声の通り、なんとクロームさんの腹部が凹み出したのだ

思わず口に手を当てがい悲鳴を飲み込む

目の前で起こる非現実的なことに、幻覚かと場が混乱するがそれを術士であるマーモンさんが否定する

「どーなっている？何だ、この女…」

「…さま……骸…様…」

譫言の様に彼の名前を呼ぶクロームさんを静かに見ていたマーモンさんは、このあり得ない状況を冷静に分析した

「にわかに信じがたいが、彼女は幻覚でできた内臓で延命していたらしいね…」

「な！？」

「幻覚でできた内臓ー！？」

『そんなことが…』

人体が何の問題もなく動けるだけの内臓を構築するのというのは、驚異的な力が必要だ

しかし、それを成し得られる人を私は知っている

「骸…様……力に、なりたかった…」

(骸くん、あなたが彼女を助けているのなら…このままクロームさんを見殺しになどしませんよね)

あの、背筋がピンと伸びる様な気配と共にクロームさんの身体が霧に包まれ始めた

「なーに、最後の力をふりしぼって自分の醜い死体を隠そうとする、女術士によくあるパターンさ」

マーモンさんは何でもない様に言ってのけたが、私以外にも"彼"の存在を感じ取った人がこの場にはいる

その一人である綱吉くんが怯えた様に頭を抱えていた

「…………来る！」

「ツナ！？」

「……あいつだ」

尋常ではないその様相に武くんも慌てるが、綱吉くんの顔色はどんどん悪くなっていく

「あいつが来る！！」

「あ…あいつ…？」

「六道骸が！！骸が来る！！！」

霧の中の気配がどんどんと強くなっていくのを肌に感じた