【REBORN】雪の灯火part8 (ページ9)

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288話ページ9

「10代目！間違いなくあの女骸に憑依されてますよ！！」

「だ…だけど…」

隼人くんは目の前で繰り出される術により、完全に骸くん本人だと思っている様だ
それは至極真っ当な反応だろう

しかし言葉を詰まらせた綱吉くんは、何かを感じ取っている

彼女が彼女であることを

床で蠢く大蛇に注目していれば、眩いおしゃぶりの光と共に蛇が弾き飛ばされた

「僕もそろそろ力を解放するよ。君の正体は、その後でゆっくり暴こう」

余裕そうなマーモンさんにクロームさんが再び仕掛ける

槍を床に、突き立て彼女はただの体育館の床から幾つもの火柱を生み出した

「うおおっ」

「あちっ！」

「わあ！！」

幻覚にかかった綱吉くん達が熱がる様子が赤く燃える隙間から見える

私はというと、幻覚だと知覚できたおかげで熱さは感じなかった

しかしそれは、私だけではない
火柱から飛び出したマーモンさんも然りだ

「確かに君の幻覚は一級品だ。一瞬でも火柱にリアリティを感じれば焼けこげてしまうほどにね。

　ゆえに、弱点もまた＿幻覚！！！」

今度は、またしても宙へと身を浮かべたマーモンさんの番だ

彼のフードの下が光を放った次の瞬間、
火柱が凍りつき、館内の温度が急激に下がったのを感じてしまった

『っ！…寒い』

「不覚にも幻覚にかかっちまったぜ、コラ」

「オレもだぞ。さすがバイパーだな」

吐く息の白さも、肌に感じるその寒さも本物に感じられる
瞬きの間に幻術の世界に引き込まれてしまったのだ

クロームさんの顔に初めて焦りが生まれていた

「幻術とは人の知覚、すなわち五感を司る脳を支配するということ。術士の能力が高ければ高いほど支配力は強く、術にかかる確率も高まり、よりリアリティをもつ」

フィールド上をふよふよと漂うマーモンさんに自然と視線が集まる

「そして、術士にとって幻術を幻術で返されるということは、知覚のコントロール権を完全に奪われたことを示している」

『！』

「ああ」

なんとクロームさんの足元が凍りついてしまっていたのだ

彼女は懸命にそこから脱しようと念じているようだが、何も起きない

「もう何を念じてもムダだよ。君はすでに僕の幻術世界の住人だからね」

マーモンさんが小さく指を動かしただけで、凍りついた彼女の体が宙を舞った

「きゃあ！」

地面に叩きつけられた彼女は、自身よりも三叉槍を大切に抱え直した

その槍が重要なものだとあからさまにわかってしまうように