【REBORN】雪の灯火part8 (ページ15)

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293話ページ15

「ハァ…ハァ…少し遊んでやれば図に乗りやがって」

かなり疲弊した様子のマーモンさんが、まだ引き下がらないと言わんばかりに息を切らせる

「ハァ…ハァ…僕の力はまだまだこんなものでは…！」

しかしながらそれは悪足掻きだと知ってしまったのだ

なぜならば

「幻術を幻術で返されたということは、知覚のコントロール権を完全に奪われたことを示している」

先ほどまでマーモンさんの正面にいたはずの骸くんが宙に曲がった床にいた

そう、彼の言う通り術師の弱点は幻覚
皮肉にもそれは先ほどマーモンさんが言っていたことだった

ファンタズマくんが主人であるマーモンさんに襲いかかる

「グゲッやめろ！ファンタズマ！！」

苦しそうにもがいている彼の足元が徐々に崩れていく

「さぁ、力とやらを見せてもらいましょうか？」

「ムギャ！！！」

その崩壊は即座にフィールド全体に伝播していき、こちらの観覧席にまで及び始めた

「落ちるー！」

「おっと！」

『！っ』

偽物だとわかっていたとしても、その落ちる感覚に恐怖を感じる

この世界の創造者である彼を除いて

「クハハハハ！！どうですか？アルコバレーノ、僕の世界は！！」

恍惚とした表情を浮かべ、瓦礫となった床と共に下へと落下していく

そして

「！！」

「んぷっ」

『！？』

信じられないことにマーモンさんの体内へと、その身を捩じ込んだのだ

苦しそうに顔を歪めるマーモンさんの体がぶくぶくと膨らんでいく

目を疑う様なその光景は紛れもなく現実で、その証明に呻きにも近い叫びが耳に届く

「ムムム！！！やめろ！死ぬっ！死ぬ〰〰！！」

マーモンさんの中の骸くんが力を増幅させていった

「君の敗因はただ一つ、相手が僕だったことです」

そして

「ギャ」

悲鳴すら上げられなかった

爆発音のごとく凄まじい音と共にマーモンさんが破裂した
言葉通りに、だ

上がった噴煙が晴れていくのと同時に幻覚空間も消滅していき、残ったのは槍を携えた一人の青年

その手には、完成された霧のリング

「これで……いいですか？」

差し出されたそのリングを見てレフェリーであるチェルベッロさんが審判を下した

「霧のリングはクローム髑髏のものとなりましたので、この勝負の勝者はクローム髑髏とします」

その無機質なジャッジが一層、一瞬前に起きた壮絶な出来事を冷たく浮き彫りにさせているように感じた