今日のお悩み「疲れる…」 ページ9
敬人「…で、どうしたらいいだろうか。」
『いや知らないんだけど。』
敬人「貴様、悩みの一つや二つ解決出来ないとは、それでも教師か。」
『じゃあ逆に聞くけど、蓮巳くんは一応教師の私を貴様とか呼んでるけど、それでも生徒会なの?』
敬人「……度し難い。」
眼鏡を直しながら小さな声で「すまない。」と謝る彼は、蓮巳敬人くん。
なんでも、ここ最近忙し過ぎてアイドル活動に勤しめていないのだとか。
『取り敢えずさ、何が大変なの?』
敬人「まずは生徒会の書類だな。量が多過ぎる。」
『あぁ、あれね。』
生徒会室の机に山積みになってるあれね。
まったく、うちの学校の教師陣はクズなのか、椚先生以外。うん。
生徒会にあの量をやらせる教師陣が悪いと思う。
敬人「それから、あれだな。」
『あれ?』
敬人「英智がよく無理をする。あれは俺の心臓に悪いからやめて欲しい…」
『あぁ、なるほど。』
敬人「あと、姫宮が仕事をしない。それから、神崎がすぐ抜刀することと、日々樹がうるさいことと日々樹がうるさいことと……」
『日々樹くんがうるさいこと、って2回言ってるけど大丈夫?』
淡々と困っていることを吐き出す彼に、私がそう言えば、彼ははっとしてこれまた小さく溜息を吐いた。
疲れてるんだなぁ。
蓮巳くんの目の下にはクマがあって、眉間の皺は深く刻まれていて…苦労している人の顔だ。
『綺麗な顔してるのに…』
敬人「え。」
『え?』
つい、口に出してしまったその言葉。
まぁ天下のアイドル様ですから、お顔が綺麗なのは当たり前なんだけど。
こちらを向いて、呆けた顔をする蓮巳くん。
じわじわと羞恥心が込み上げてくる。
『え、っと、うん、今のは、その、ですね。』
敬人「え、あ、いや、嬉しかった、ぞ。」
『へ、あ、どういたしまして…?』
お互いにドギマギとしてしまう。
私達の間に、長い沈黙が流れた。
敬人「なぁ、先生。」
『な、なぁに?』
先に沈黙を破ったのは、彼の方だった。
貴様でも、お前でもなく、「先生」と呼ばれた。
敬人「先生は、本当にいい教師だな。」
『え、どうしたの?いきなり。』
敬人「いや、思ったことを率直に言っただけだ。」
すっかり冷めてしまったお茶を飲み干して、彼は席を立った。
こちらを見据えて、口を開く。
敬人「話を聞いてもらって少し楽になった。
ありがとう、先生。」
こちらを見る彼は、綺麗な笑顔を浮かべていた。
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夜透田 流(プロフ) - しゃけさん» ご指摘ありがとうございます。 (2020年11月1日 17時) (レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ(プロフ) - おそらく、蓮見ではなく蓮巳だと思います。 (2020年11月1日 17時) (レス) id: 739f78e142 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - 零さんの下僕さん» わぁぁ、ありがとうございます!!更新頑張りますね!もし読みたいお話とかあったら是非リクエストしてください〜 (2020年3月1日 11時) (レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
零さんの下僕 - 最高でした!目次のとこ見て結構あるからちょこちょこ読もう〜とか思ってたのに、その日中に読み切っちゃいました。続き、楽しみに待ってます! (2020年3月1日 0時) (レス) id: 61b8c4ad42 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - Evaさん» ありがとうございます!やっとこさ受験が終わったので少しずつ更新していきますね! (2019年10月12日 21時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜透田 流 | 作成日時:2018年2月23日 10時