今日の相談「忘れないで」 ページ5
藍良「実はねェ、先生に確認したいことがあって。」
『確認したいこと？』
藍良「うん。…これも噂で聞いたんだけど、先生って…」
白鳥くんの長い前髪が垂れ下がり、彼の表情は伺えない。相談室の噂から考えると、私の噂も悪い話では無さそうだが、彼の表情が分からない以上、完全に否定もできない。
藍良「先生って、元アイドルってほんと？！」
『えっ。あ、うん。…え？』
藍良「じゃあじゃあ！先生って、あの伝説のアイドルAlphaって、ほんと？！！」
相談室に入った時よりももっと目をキラキラと輝かせて、白鳥くんは、私に詰め寄った。
彼の緑色の瞳は大きく見開かれ、エメラルドの宝石のようなそれが零れ落ちてしまいそう。感動なのか、なんなのか。溢れ出てきた涙を、私はそっと拭ってやった。
『よく知ってたね、白鳥くん。』
藍良「…うそ…！先生って本当にあの伝説のアイドルなの？！っラブ〜い！！サインくださいっ！」
『いや待って色紙多くない？？』
藍良「保存用に？っていうかァ、ほんっとーに、あのAlphaなんだァ…はぁ、夢みたい…」
彼から手渡された綺麗な白い色紙に、数年ぶりに自分のサインを書き込んでいく。
さらさらと流れるペン先を見つめながら、彼は物思いに耽るように溜息を吐いた。その瞳はうっとりと蕩けてしまっている。
藍良「…おれね、Alphaのこと…Alphaがアイドル辞めてから知ったんだ…もちろん、GOSICKは二人とも好きだよォ？でも、Alphaのことが、ほんっとーに好きになっちゃって。…映像でしか見た事ないけど、ステージの上で歌って踊るAlphaが、すごくかっこよくて、可愛くて…魅力的で。…大好きなんだ。」
『…白鳥くん…』
藍良「…えへへ、ごめんなさい。もう引退した身なのに、先生もこんな話されたら気まずいよねェ。」
困ったように眉を下げ、白鳥くんは頬を掻きながら控えめに笑った。無理をしているようにも見える、そのへらりとした笑みを見て、私はつい、堪らず。彼の頭を撫でてしまった。
いや！本当は！アイドル様様の頭を撫でるなんて！烏滸がましいにも程があるのですけどね？！！
『白鳥くん。…ありがとう、私の事…まだ、忘れないで居てくれて。…私たち表現者にとって、一番辛いのは忘れられることだから。』
藍良「…先生…」
『白鳥くんさえ良ければ、このまま忘れないでいて。』
笑顔で頷いてくれた彼を、親しみと感謝を込めて…藍良くんと呼ばせて貰おうか。
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夜透田 流(プロフ) - 勿忘草色の蜜蜂さん» ありがとうございます！HiMERUくんキャラを掴みきれてなかった自覚があったので、そう感じて頂けて嬉しいです！ (2022年4月14日 20時) (
レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草色の蜜蜂 - ひめる様ぁ…！すっごくよかったです！作者様ありがとうございます！ (2022年4月13日 20時) (レス) @page12 id: e814718385 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - moekaさん» コメントありがとうございます。現在作者の多忙につき、なかなか更新が出来ない状態となってしまい、今に至ります。本当に少しづつですが、下書きを進めていますので気長にお待ち頂けると幸いです。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月18日 15時) (レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2021年10月13日 3時) (レス) id: e9f0e4b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - しいなさん» コメントありがとうございます！コロナ禍ということもあり、大学生活が忙しく中々時間が取れず更新を止めておりました…少しずつでも進めていきますので、これからもよろしくお願いします！ (2021年4月29日 22時) (レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜透田 流 | 作成日時：2020年3月23日 14時
