第七十三話 ずるい人 ページ30
我妻善逸side
正直言って、顔真っ赤なAちゃんがめちゃくちゃ可愛い。
いや、そんな事思うような雰囲気じゃないのは分かっている。だが、蛇柱の伊黒さんに口説かれ、みるみる赤くなっていく彼女のその初心な反応が、どうも俺の心にぐっと来るのだ。兎に角可愛い。
『あ、の。…ずるい、です…』
どうにかこうにか振り絞ったのだろう。彼女は小さな声でそう言った。
伊黒「どこがずるい。お前の方が何倍もずるい。あれだけお前の事を突き放したのに、お前は色濃く俺の中に残った。深く爪を突き立てて、俺の心に傷痕を残して去った。…俺はお前が嫌いだった。いけ好かない奴だと思っていた。何せお前は強いからな。不死川と違って、俺はお前が努力している所を見た事が無かった。…天性の才能だと思っていた。」
『そんなんじゃ、無いです。』
伊黒「あぁ、そうだろうな。」
早くも落ち着きを取り戻した彼女は、長い睫毛を伏せて小さく否定した。伊黒さんは、間髪入れずに頷いた。
伊黒「お前がいなくなってから気付いた。お前の屋敷にあった綺麗な字で書かれた書類には点字が添えられ、お前が置いていった隊服は解れが目立つ。この屋敷には、娯楽は一つも無かった。小さな手鏡でさえも無かった。…お前は、いつでも刀を握っていたな。」
『…』
伊黒「お前を見くびっていた。天才には追いつけまいと、そう勝手に決めつけていた。天才には、我々凡人の考える事は分からんだろうと思っていた。しかし、そんな事は無かった。…A、お前は誰よりも努力家だったのだな。」
伊黒さんは、彼女の名前を呼び、それに合わせてそっと寄り添い頭を撫でる。彼女から温かな音が聞こえた気がした。
伊黒「俺は追いついて見せよう。追いついて、追い越して、お前を俺の背に隠してやる。どんなに辛辣な態度を取られても俺達を守り抜いたお前を、今度は俺が守ろう。…だから、お前を俺にくれないか。」
『…私の背中だけ、貸してあげます。今は、それでいいでしょ、小芭内さん。』
伊黒「…ふん、いいだろう。その内全て貰うからな。」
伊黒さんは、最後にもう一度彼女の頭を乱雑に撫で、甘露寺さんの横へと戻って行った。甘露寺さんからきゅんきゅんと音がするのはまぁ、はっきり言って予想通りだが、冨岡さんと宇髄さんの音がめちゃくちゃ怖い。
なに、その音？どんな心境なの？？
伊黒さんからは、満更でもなさそうな音がしていた。
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夜透田 流(プロフ) - ゆっくり四つ葉さん» これからちょこちょことしか更新できなさそうなのですが、頑張って完結に向かいたいと思います…！本当にありがとうございます！！ (2020年8月21日 17時) (
レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - ゆっくり四つ葉さん» コメントありがとうございます！！そうなんです！小説のそのシーンを書いてからアトラクライトの存在を知ったので実は無意識で似たセリフを出していたみたいなんです…アトラクライトめちゃくちゃ鬼滅とピッタリですよね…！ (2020年8月21日 17時) (レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくり四つ葉 - アトラクトライトの歌詞入ってる！オァァァ！！ぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ！！…すいません。はい。素晴らしい作品をありがとうございます！ (2020年8月21日 17時) (レス) id: 135b7cf6d1 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - 霞さん» 伊黒さんの心中が複雑すぎるのも考えものですね…解説付けたので良かったら読んでみてください〜 (2019年11月22日 9時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)
霞 - 伊黒さんいつからなんだ…蜜璃ちゃんより夢主がいいのかそうだろう夢主健気すぎてもういい子すぎだからな…！夢主の方が正しかった許された(？)から好きとかじゃないよな…努力云々はいなくなってから気付いたはずなのに結局最近まで嫌ってたんだし…？ (2019年11月21日 23時) (レス) id: ce151a9693 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜透田 流 | 作成日時：2019年11月7日 17時
