第六十四話 氷河期 ページ21
冨岡義勇side
『ただいま戻りました。…あれ、皆さん既にお揃いで?』
冨岡「あぁ。お館様は産屋敷邸の方で別件のお仕事をなさっている。」
『なるほど。では、作戦会議を…』
甘露寺「あ、あの!」
特高警察の方の任務を終えた彼女は、和紙を片手に闇屋敷の広間の戸を開けた。文机の上に和紙を並べ、墨を刷り始めた所で、甘露寺が彼女に声をかけたのだ。
『なんでしょう、甘露寺さん。』
甘露寺「あ、あのね、私達、Aちゃんにお話があって…」
『お話?すみませんが、あまり時間もありませんので地図を描きながらでもよろしいですか?』
伊黒「構わん。」
刷り終えた墨を小筆に染み込ませ、紙の端に「
甘露寺「あのね、私達…Aちゃんに謝りたいの。…あの時、最後まで信じてあげられなくてごめんなさい。」
伊黒「俺も、すまなかった。」
胡蝶「私も…貴女の実力も、貴女の考え方も、誰よりも知っていた筈なのに、信じてあげられなかった…A、ごめんなさい。」
柱の半数が、正座をしてその額を畳に極限まで近づける。Aはそれに目もくれず、和紙に鉛筆を走らせている。…何を書いているのかはさっぱり分からない。
不死川が謝罪を続ける。
不死川「俺も悪かったとおも____」
『もう結構です。』
不死川「は…?」
延々と続きそうに思った謝罪の雨は、彼女の冷めきった退屈そうなその声で絶たれた。彼女の瞳は手元の和紙と小筆、大筆、忙しなく動く鉛筆しか写していなかった。
『そんな礼儀だけの謝罪、要りませんので。もしお話がそれだけなら…ちょっと黙って頂いても?』
日が差して暖かいはずの大広間は、突如として氷河期を迎えたかのように冷えきった。
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夜透田 流(プロフ) - ゆっくり四つ葉さん» これからちょこちょことしか更新できなさそうなのですが、頑張って完結に向かいたいと思います…!本当にありがとうございます!! (2020年8月21日 17時) (レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - ゆっくり四つ葉さん» コメントありがとうございます!!そうなんです!小説のそのシーンを書いてからアトラクライトの存在を知ったので実は無意識で似たセリフを出していたみたいなんです…アトラクライトめちゃくちゃ鬼滅とピッタリですよね…! (2020年8月21日 17時) (レス) id: d6a7ece567 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくり四つ葉 - アトラクトライトの歌詞入ってる!オァァァ!!ぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ!!…すいません。はい。素晴らしい作品をありがとうございます! (2020年8月21日 17時) (レス) id: 135b7cf6d1 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - 霞さん» 伊黒さんの心中が複雑すぎるのも考えものですね…解説付けたので良かったら読んでみてください〜 (2019年11月22日 9時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)
霞 - 伊黒さんいつからなんだ…蜜璃ちゃんより夢主がいいのかそうだろう夢主健気すぎてもういい子すぎだからな…!夢主の方が正しかった許された(?)から好きとかじゃないよな…努力云々はいなくなってから気付いたはずなのに結局最近まで嫌ってたんだし…? (2019年11月21日 23時) (レス) id: ce151a9693 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜透田 流 | 作成日時:2019年11月7日 17時