第四十三話 誘われて ページ48
冨岡義勇side
お館様の解散の声で、柱は各々動き出す。
俺も次の任務を任されたAの元へ行こうと腰を上げれば、後ろから少しの衝撃と同時に腹へと回る細い腕を目の当たりにする。
冨岡「…光条。」
白い羽織から覗く華奢な腕の正体は、光条。元より、俺にこんなことをするのは彼女くらいしかいない為、思案する必要など無いのだが。
光条「義勇、この後一緒にお出掛けでもしない?」
冨岡「いや…俺は、」
光条「新しい甘味処が美味しいって評判なの!ね、いいでしょ?」
あからさまな上目遣い、腰から腕へと掴む場所を変える白い華奢な手、さり気なく押し付ける柔らかな女性特有の……と、ここまで考えて、俺は勢いよく頭を振り、邪念を祓う。
…こんな女より、Aの方が数百倍愛らしい。
冨岡「すまないが、俺はAがいい。」
光条「え。」
胡蝶「は?」
宇髄「ぶふ。」
『…(馬鹿だろあいつ)』
俺は何か失言をしただろうか。
俺は「(甘味処へ一緒に行くのなら)Aがいい。」と言ったのだ。今回ばかりは言葉が足りていない事はないとおも…思う。
笑顔のまま固まる光条に、光の速さで光条を庇い俺を睨む胡蝶。密かに吹き出す宇髄に、口元は笑顔のままだが明らかに痛いAの視線。
胡蝶「…なんですか。冨岡さんまで、特高殿の味方をするようになったんですか。」
宇髄「どこで何があったかな知らねぇが、これで仲間が一人増えたって訳だ。はん、ド派手だな!」
『義勇。なんでそんな誤解受けるような言い方すんのさ!』
宇髄「なんだよ、冨岡は名前呼びでタメ口か?んじゃあ、俺にもそうしよーぜ。」
『貴方は元から敬語でしたから変えません!!』
光条「そ、そんな…騙されないでよ、義勇!」
泣きそうな顔で胡蝶の後ろから訴える彼女に、俺はもう何も思わない。
冨岡「俺はもう、」
見失わない。
また、失くすのは嫌だ。
彼女だけは、Aだけは、俺の元に留めておきたい。なんとしてでも。
だから。
冨岡「…"前を向く"ことにした。」
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夜透田 流(プロフ) - もやし好きのもやしさん» いえいえ!!むしろこんなんですみません!!ありがとうございます、頑張ります!! (2019年10月30日 17時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)
もやし好きのもやし(プロフ) - うわあああコラボありがとうございますぅぅう!!うちの桜花がお世話になりました…!これからも応援しています!!! (2019年10月30日 17時) (レス) id: 6a4e808260 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - 恋歌さん» ありがとうございます、頑張りますね!! (2019年10月27日 21時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)
恋歌 - これからも頑張ってください!応援しています!! (2019年10月27日 20時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
夜透田 流(プロフ) - 恋歌さん» コメントありがとうございます!これからじわじわと思い知らされていきます…ちゃんと後悔して反省できると良いですね…書くのは僕なんですが(( (2019年10月27日 10時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜透田 流 | 作成日時:2019年10月10日 7時