返り咲けぬも予測済み【鬼滅の刃】

第三十六話 安堵と後悔と ページ41

竈門炭治郎side


都築「お、俺、は……」

我妻「目ぇ覚めたかこのむっつり！！！！」

都築「えぇ？！！」



鬼の身体が灰になっていくのを、Aと共に手を合わせながら見送れば、善逸のそんな声が聞こえてきた。弾かれるようにして彼女は善逸の方へと向かって行った。




『都築！！』

都築「ひぃっ？！！Aさんんんん！！！！」




情けない悲鳴を上げているが、都築と呼ばれた男の顔は少々桃色に染まっている。薬を飲まされたことを覚えているのだろうか？
…それもそれで気まずい。




都築「ほ、ほほほ本当にすみませ____」
『馬鹿野郎！！』

都築「ひぇっ！！…？」




勢いよく手を広げ、Aは都築さんを力強く抱き締めた。抱き締められた当の本人は、そう来るとは思っていなかったのか、構えた手のやり場に困っている。

ちなみに、善逸その隣で嫉妬に狂っている。見苦しいぞ善逸。




都築「A、さん…？」

『…良かった…』

都築「！！」

『良かった！！お前が無事で…！誰かを殺める前に救えて良かった！！…生きててくれて、ありがとうっ…！』

都築「Aさん…俺の方こそ、ありがとう、ございました…」




きつく彼を抱き締めながら、彼女は涙を流した。泣いているのに、悲しい匂いはあまりしない。安堵した、幸せだと、そんな匂いがする。少しだけする後悔と悲しみの匂いは、鬼となったもう一人の人に対してだろう。

暫くして都築さんを離したAさんは、優しく笑って俺と善逸を手招きした。




『ありがとう。…炭治郎、善逸。』




一拍置いて、俺達は彼女の腕の中にいた。

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