osmn《氷が美味しい》 ページ21
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からん、からん。くすんだグラスの中に、水の破片を落とす。こんな事しても楽しくはないのだが、心のどこかで楽しんでいるようだ。
os「まーた、氷食べてるん?」
『美味しーよ、マンちゃんも食べる?』
os「いや、俺はええわ。」
冷え切った手で、グラスから氷を一つ掬って、口の中で噛み砕く。ゴリゴリ音がして、まるで骨を食べている…… いや、そんな感じは一切しないが、気付いたら癖になっていた。
とある夏の日、30℃を超える真夏日。かき氷を作るのもめんどくさくて、コップに入ってた溶けきっていない氷を、奥歯で噛み砕いた。美味しい。それから、お腹が空いたら氷を食べてしまうのだ。
決して得になる訳が無い、無駄な物ばかり詰め込んだ、私の胃袋。水を固めただけのものに、私の心が満ちてしまうのなら、ここまで抱いた理想も、夢も、全部要らないのではないか。
os「そんな理由やったん?てっきり、Aストレス溜め込んでんのかと思ったわ。」
『自分でも、くだらないなって思ったわよ。』
マンちゃんも、氷のように冷たい時が一瞬現れる。口調や目付き、そして言動。思い出すだけで、背筋が凍りそうになる。
……もし、マンちゃんの事が食べれたのなら、この空腹を忘れる事は出来るのだろうか。どうせ、忘れる事が出来たとしても、私が氷を食べる癖が無くならないだろう。
os「ん〜!美味しいめう〜!」
彼に連れてこられたのは、イタリアンの小洒落た店。パスタを頬張るマンちゃんを前に、私はいつも通りの日課を繰り返した。
os「そんな気もしとったよ……」
コップを持った手を掴まれる。初めてだ、氷を食べる事を止められるのは。どんなに私より女子力が高くても、彼は男だ。握力はそれほどあるだろう。
os「A、分かってるやろ?氷なんかで空腹を満たしても、現実なんてものは変わらないんよ。」
『……何が言いたいの。』
os「まだ気付かんの?」
掴んでた腕を解き、フォークにくるくる巻かれたパスタを突き付けながら、妖しく笑った。
os「今までの事が無意味だった。なぁんて、知らない振りしながら生きて、何で罪悪感とか生まれないんやろね。」
目が、妖しく、爛々と光った。
この場が氷のように冷たかった。
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使用曲⇒【スープの事情】 /【なす×すだち】様
- 金 運: ★☆☆☆☆
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來憂@元星夜(プロフ) - 美浦さん» 返信遅れてすみません!!!リクエストはいつでも受け付けてますよ!了解致しました、出来上がるまで暫しお待ち下さい! (2018年2月28日 20時) (レス) id: 4ee53ee2f1 (このIDを非表示/違反報告)
美浦 - 初めまして。いつも素敵なお話を読ませていただいてます。リクエストってまだ大丈夫でしょうか?差し支えないようでしたら、「再演」という曲でお願いしたいです。因みにgrぽいどが歌ってたのがあったので機会があれば聞いてみてください!これからも応援しています! (2018年2月13日 1時) (レス) id: 39a9d621b3 (このIDを非表示/違反報告)
星夜(プロフ) - 月猫さん» いつもありがとうございます(´;ω;`) 今作ってる話が終わり次第、作りますので時間が掛かりますが暫しお待ち下さい! (2018年1月5日 23時) (レス) id: 4ee53ee2f1 (このIDを非表示/違反報告)
月猫(プロフ) - 初めまして。いつも短編小説楽しく読ませてもらってます。リクエスト欲しいってあったので1つ置いときます。「フィクサー」という曲で頼みたいのですが大丈夫ですか?因にうつぽが歌ってたんでよかったら聞いてみてください。これからも応援してます!頑張ってください (2018年1月5日 21時) (レス) id: e71b2e74c5 (このIDを非表示/違反報告)
赤ずきん(プロフ) - 全然おっけーです!主さんの文で「なるほど、こういう解釈もあるのか」と勉強になりました!曲自体、引き込まれるのにそれを文にすると更に引き込まれました。病み気味ゾさん…嫌いじゃないですむしろ好きです(小声)← ありがとうございます! (2017年12月14日 17時) (レス) id: f370730a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星夜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/seiya02201/
作成日時:2017年6月25日 0時