長編小説【刀剣乱舞】白の審神者と黒の本丸～其ノ弐 (ページ10)

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一方その頃～蛍丸ページ10

【蛍丸side】

主を探している途中、物凄く不機嫌そうな二人に会った。

「加州、大和守」

声をかけるとジロリと睨まれた。

「蛍丸と明石か…なに？悪いけど俺らいま超機嫌悪いよ？」

「主と国俊見かけなかった？探してるんだけど全然見つからなくて」

突然加州の気配が殺気立った。

「主と愛染？」

「そう。知らない？」

「………」

返事はない。
ジロリとこちらを睨んでいる。

「二人ならさっきまで僕らと一緒にいたよ。主なら中庭、愛染はさっき別れたから知らない」

大和守が答えた。

「なんや二人ともえろう殺気立ってますけど大丈夫でっか？」

いつもとは違いすぎる様子に、さすがの国行も心配してるみたいだ。

「特に加州はん、顔色悪いで？」

「なんでもないよ。ほんとにちょっと機嫌悪いだけだから」

ツンと顔を背けた。

あれ？
これって、もしかして…。

「ねぇ加州、国俊たちと何かあったの？」

「……………」

直球で聞いてみた。
これは、どうやら図星みたいだ。

「何かあった？」

「別に…鬼遊びしてただけ」

「ふぅん？主を殺そうとしたの？」

「当たり前じゃん。だったら何」

「結局失敗したんだ？」

「……」

「逆に主と国俊に何かされた？」

「……悪いけど言いたくない」

「ふぅん、じゃあ聞かなーい」

後で国俊に聞いてみよっと。

「もういい？俺ら行くから」

二人は背を向けすたすた行ってしまった。

「はぁ…」

隣で国行がため息をついた。

「蛍、あんまり突っ込んで聞くんはアカンで。具合悪そうやのにいじめたら可哀想やろ」

こういう時、国行は優しい。
弱ってる相手にはとことん甘くなる。

「別にいじめてないよ」

だけど俺はそうじゃない。

「ちょっと意地悪してあげただけ」

俺は俺の好きなものに手を出す奴には容赦なんてしてあげないもの。