長編小説【刀剣乱舞】白の審神者と黒の本丸～其ノ弐 (ページ31)

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変化～① ページ31

【変化】

加州と大和守の負傷事件から一週間が経った。

重症だった二人はみるみる良くなり、今ではすっかり元気な様子を見せている。

――あの一件以来、本丸内に大きな変化があった。

Aに対する刀剣男士たちの態度が激変したのだ。

いきなり襲われることも憎悪を向けられることも無くなった。

廊下ですれ違えば挨拶されることも増えた。

まだ少し距離はあるものの、好意的に話し掛けてくる者までいるのだった。

―――――――

コンコン。

「加州清光、入りまーす」

執務室に入ってきた加州は、大量の荷物を抱えていた。

「主、頼まれてた書類の整理終わったよ。万屋に不足備品の追加発注もしといたし、出陣データ履歴の分析もこんのすけが急ピッチで進めてる」

「お疲れ様です。こちらも報告が終わりました。今回使用する資源は政府が全て負担して下さるそうです」

「え、スゴくない？何て報告したの？」

「本丸の刀剣男士さま全員を一斉手入れするので力を貸して下さい、と」

「それだけ？」

「えぇ」

「政府のくせに太っ腹じゃん。今さら俺たちにいい顔しようとしてない？」

「それだけ心配してくれているということです。あちらにも色々な事情があるのでしょう」

「へぇ、どうだかねぇ」

ここ最近のAは、加州やこんのすけと共に本丸を立て直すことに尽力していた。

本丸の運営自体を見直し、不備を徹底的に洗い出した。

刀剣男士のステータスや戦闘データも細かく解析し、次の出陣に生かす準備を進めている。

毎日慌ただしく作業は行われた。

すると、その動きに影響を受け、他の刀剣男士も進んで手伝いを始めたのだ。

―――【黒の本丸】は少しずつだが、確実に息を吹き返してきている。