加州清光〜�� ページ26
「加州清光さまを一度刀解しようと思います」
「！？」
「…っ貴様」
「加州殿を殺すつもりか！」
激高した刀剣男士たちが刀を抜いた。
慌てて止めに入ろうとした一期一振と薬研だったが、Aに視線で制されその場に踏み留まる。
正に一触即発。
すると、
「…何か、考えがあるのか」
それまで黙っていた三日月が口を挟んだ。
Aをとらえる表情は、真剣そのものだった。
「えぇ、勿論です」
Aは刀剣男士たちを見渡す。
「残念ながら修復はできません。ですが方法はひとつではない。加州さまは必ず助けてみせます。私はそのためにここにいるのですから」
自信溢れるAの言葉は刀剣男士たちを圧倒する。
「……」
「……」
「…あいわかった」
静寂を破り、三日月がすっと目を伏せた。
「俺たちではどうすることもできん。お前に頼るほかない……主よ、どうか加州を頼む」
そう一言告げ、Aに向けて静かに頭を下げた。
他の刀剣男士たちは唖然としてその様子を見つめた。
――あの三日月が審神者に向かって頭を下げている…。
三日月宗近。
彼は本丸を支える主要な刀剣男士の一人だ。
強く、気高く、美しい。
誰もが一目置く天下五剣の一振。
これまで政府に危険視されるほどの非道な行いもしてきたが、その旨は純粋に仲間を思ってのことだった。
勿論、Aもそれはよくわかっている。
―――意味なく審神者を斬ろうとする刀剣男士など、最初(はな)から存在しないのだ。
「加州は我が本丸の大事な初期刀だ。失うわけにはゆかぬ」
「お約束いたします」
審神者として、仲間を想う彼らの期待に応えなければいけない。
その覚悟を胸にAはしっかりと頷くのだった。
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作者名：コトナガ | 作成日時：2019年9月6日 0時
