三条〜�� ページ20
「さて俺も鬼退治でもしてみるかな。主よ、最期に何か言いたいことはあるか？」
三日月に問われ、Aはひとつ溜め息をついた。
そして少しの間あと、静かな声で話し始めた。
「…審神者にとって刀剣男士はかけがえのない尊いもの。だからこそ大切にしたい。ここへ来たとき私はそう思っておりました」
Aは空を仰ぎ見る。
「極力皆さまを刺激しないよう、傷つけないようにと、今日まで私なりに気を遣っていたつもりです」
「ほぅ？」
「ですが、それは今日で終わりにいたしましょう」
Aは笑顔を浮かべた。
「このひと月でよくわかりました。この本丸において、私の下手な気遣いは刀剣男士さまとの距離を縮めることはおろか、むしろ妨げにしかなっていないのだと」
Aは三日月を真っ直ぐに見つめ続ける。
「審神者と刀剣男士。もういっそのこと、互いに全力でぶつかった方が分かりやすいとは思いませんか？」
「………」
Aの意外な発言に三日月はしばし言葉に詰まった。
「…つまり、通したい意志があるなら力で示せと？」
「その通りです」
「「………」」
三日月だけでなく、三条の面々も同様に驚きを隠せない様子だ。
「…くっ、はっはっはっ！これは驚いた。審神者らしからぬずいぶん乱暴な考えじゃないか」
「ふふ、私は所詮【鬼】ですから」
すると、Aの回りにビリビリとした鋭い気配が集まり始めた。
空気が震え熱を失っていく。
―――Aの纏(まと)う殺気が辺りを凌駕(りょうが)していく。
「さぁ三条の皆さま、決着をつけましょう。私が勝ったら私の話を聞いてくださいね」
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作者名：コトナガ | 作成日時：2019年9月6日 0時
