ブロローグ ページ1
「A、今回のテストでこの先の進路が決まるのよ。必死で取り組みなさいね」
「うん、分かってるって」
こうやって受け流してはいるが、母さんは毎日のようにこの事を言う
なんだか、ちょっと嫌だ
先生がテストを返却していく。私の点数は、67点だった
「ウソッ…」
見た瞬間、私は泣きそうになった
今回はよくできたと自分で思ったし、この教科が一番手ごたえがあったので、この後帰ってくる他のテストの事を考えると絶望した
6時間目は道徳だったが、頭に入らない
気を抜いてしまえば涙が出そうだった
下校中、私はいつも一人で帰っているが今日ほどそれをありがたいと思ったことは無い
下を向き今まで我慢した分の涙を流した
家に帰ったら泣いてる場合ではない
今日は母の仕事は休みだから、家にいるだろう
「覚悟を決めるか…」
「ただいまー」
「お帰り」
嫌な事は早めに済ますのが私のやり方だ
「母さん。英語のテスト67点だった」
母さんが驚いた顔をしながら、答案用紙を見る
少ししてから
「座りなさい」
怒りを含んだ声でそう言った
「もう少しとれたんじゃないの？ちゃんと勉強したの？」
「したよ。ケアレスミスとかも、しちゃったけど次はもっといい点とるつもり…」
「本当にそう思ってる？」
「え？」
「こんな点数で、なんでそんな平気そうなの？危機感とかないの？」
「…」
平気なわけない
だけど、親の前であまり泣きたくない
今だって平気なふりをしてるだけだ
けど、こんな言われ方したら、こらえるは無理だ
「トイレ」
本気でトイレに行きたいわけじゃない
こらえきれなくなった時、私はいつもトイレで泣くのだ
「ごめん、おなか壊しちゃった」
トイレを出たらいつも通り、明るくふるまう
「A、どこの高校に行くつもり？こんなんじゃどこの高校にも入れないよ」
母さんは私の心をえぐる天才なんじゃないかと思う
「今のままじゃあの高校は無理だよ」
母さんの言う高校とは、公立の難関校だ
私のレベルじゃ少しきつい
「だったら、少しレベル下げる？例えば…」
「遠い学校でいいの？Aは朝に弱いから、絶対無理よ」
なら、何が正解なんだろう
「そう？だったら、やっぱ、次頑張るしかないよ。だから母さんも応援し…」
「いい点なら、次も頑張ってって応援するけど、この点じゃ応援しても仕方ないじゃない」
「…ッ！」
私は、つい自分の部屋に駆け込んで鍵を閉めてしまった
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吉田 夕陽(プロフ) - めっちゃええ作品ですね！もう、なんか、世界観に入り浸って想像しながら読んでいると、ニヤニヤが止まりませんでした！神作ありがとうございます！！ (5月28日 21時) (
レス) @page34 id: ab26c36e5b (このIDを非表示/違反報告)
風来坊(プロフ) - ゆうさん！ありがとうございます！そう言ってもらえて、とても嬉しいです (2019年12月22日 8時) (レス) id: 2959e30a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - えー！めっちゃいい作品じゃないですか！泣きました (2019年12月20日 21時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
風来坊(プロフ) - ログインできました！よかったらコメントお願いします (2019年11月21日 19時) (レス) id: 2959e30a52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風来坊 | 作成日時：2019年11月14日 17時
