続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ３２ 】

手に入れた武器 ページ5

◆ 太輔・side ◆

いつも迷惑をかけ、困らせてる。



兄さんたちより遥に手を焼かせた。



「いくら大きくなったところで、子供は子供」


「いつまで経っても心配するのが親です」



優しく見つめられる その瞳は、まさしく父親の顔。



「慎太郎さんは、きっと淋しく思います」


「人一倍心配をかけた君だから」



本当にたくさん心配かけたよな…


泣かせもした…



「でもね、反面… 誇らしいとも思いますよ」



え… ？



「立派な男になったな… と」



立派？誇らしい？



「どこがです？まだ何一つ成し遂げてはいませんけど… ？」


「あはは！ですね、まだ何も成し遂げてはいませんね」



うん？



「未来のビジョン」



未来のビジョン？



「昔から君は、一つの想いをブレることなく突き進んできた」



一つの想い…



俺がずっと想っていたこと… それは…



「そう… Aちゃんを守り、慈しむこと」


「好きだ、愛してるの上辺だけではない、ちゃんと確固たるものを得る為進んできた」



…



「未来のビジョンが見えていたから突き進むことができた、そうだろ？」



はい。



「それを目に見えるようにした。三菱内定とこの卒論だ」


「剣と盾を手に入れたんだ、君は」



剣と盾…



「そして… その指輪を渡すと決めた想いを知った時、彼は思うだろう… 」


「ああ、男になったな… と」



…



「同じ想いを継いでくれる君を誇らしいと思うよ、きっと」


「大丈夫、君は これから立派な男になっていく… 父親の様に」



教授…



熱い言葉が胸を打つ…



「しっかり想いを伝えておいで… 」


「はい… ありがと…う… ございます」



想いが熱すぎて言葉が詰まる…



「相変わらず、泣き虫だなぁ」


「泣いてないです、鼻が少し詰まっただけです」



ムキになって言い返した。



「はいはい、じゃあ、もう行きなさい」


「… はい」



ガタッ…



「藤ヶ谷君、幸せになりなさい」


「はい！教授！！」



ぺこりとお辞儀をした。



ぎゅっと母さんの指輪を握り、歩き出した。



とくんとくん… と 鼓動が早い…



「俺は、幸せになる」



Aと。




熱い想いのまま 父さんがいる双葉会総合病院に向かった。




剣と盾を心の中でイメージ。




「よし！」




気合いを入れ、スマホの画面をタップした。

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