続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ３１ 】

厳しい声 ページ8

◆ 太輔・side ◆

無造作に入れられた箱には、２１万円。



それと給料明細も入っていた。




「たった２ヶ月で… アイツ どんだけ働いてるんだ？」



今は… １１月下旬、もう１２月になる…



給料明細には時間数も書いてあるため、おおよその金額が計算できる。



単純計算で…




…



「一日… ８時間以上… 異常」



…



「わた、滑ってる」


「… うっせ」



８時間以上が週… ４？いや… 家庭教師も入れると…



「河原、今 北斗 どこにいるかわかる？」



…



「この時間なら… 駅前の本屋さんだと思います」


「ん、わかった。じゃあ 本屋に… 」




ガシッ！！




「ん？」


「あの… 」



河原が俺の腕を掴んだ。



泣きそうな瞳が俺を見つめる。




「大丈夫、心配すんな… ちゃんと喝入れてくるよ」


「あ… いえ… 」



？？？



「河原？」




…




「… 伝えてくれますか？」


「何を？」




…




…




「もし… その子がいいなら… 言ってほしいって… ちゃんとお別れするからって」



！！！！



「ば！バカ！北斗がそんなこと… 」


「私たちの恋は一時の熱病みたいなものだったんですよ！！」




え…




「私たちは… 違うんですよ… きっと」




違うって…




「先輩たちみたいに運命の相手じゃなかった… 」


「ただ それだけの… ことです… 」



河原…



「… っく… ひっ… く… 」



「 … っく… 」




…




「お前… 別れたいの？」



「え… ？」



ニカ…



「別れれば？」




渉…




…




「ガヤ、北斗の所に行くのやめろ」


「コイツラの為にならない」



渉の厳しい声。



「俺のその方が良いと思う」



ニカも同じ。



２人は泣いている河原を慰めることなく部屋を出て行った…



俺がほっといた一因… アイツらが厳しくなるのはわかる。




「… っく… 」




…




「河原、大事なこと忘れてる」



「… え？」




一番大事なことを。



ああ… 俺も間違ったっけ…



つい この前。




「… ほら」



万札が入った箱を渡した。



「たった２ヶ月で… 」



この金額 あり得ない…



「それに この給料明細だって 普通 見せないよ」



普通は給料明細なんてものは見せたがらない。



なのに…



「これ、北斗の真実だって思わない？」




零れる涙が止まり、幾度なく瞬く瞳。




河原は、じっと俺の言葉を待っていた。

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