続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２８ 】

太陽の名 ページ36

◆ 太輔・side ◆

なんて軽いんだろう…



抱いてないみたいだ。



この子が兄さんの…



「ほほう、これが早瀬Jrですか」
父さんが覗き込んできた。


「俺に似てるだろ？」



…





…




「何で黙る？」
だって…

「サルだからわかんないって思ってるだろ？」
え…



…




うん。



「チチチッ、甘いなぁ、似てんのはココだ！！」
ん？


「この指見ろよ、俺と同じで長いだろうが！」



…



「… 親バカが一名追加」


「何ぃ！？誰だ！？今の！？」



…




黙って 皆知らん顔。



「チッ！！お前ら抱かせてやらん！ふん！！」

「兄さん、大人気ない」



俺を睨んだ。



「そういう奴は… 返せ！！」
あ！！

「べーだ！もう抱かせませーーん！！」
どこまでも大人気ない兄。



皆はくすくす笑っていた。



嬉しそうに我が子を抱く兄さん。



愛情溢れる その姿に胸がきゅん。



「でも、兄さん」

「ん？」



ずっと聴きたかったこと。



「その子の名前は？」



「そうだよ！お名前教えてよ！」



Aも瞳をキラキラさせ聴いた。



「この子の名前か？」
うん…



すると 真っ直ぐ ある方向を指さした。



兄さんの差した先…




窓から差し込む光。




「… 朝日だね」




長かった夜が明けた…




「今日もいい天気… 」



「あさひだ」




え…




「この子の名は… 」



「九つの日と書いて、旭。無限に繰り返すの陽の子」





無限の陽…





旭…




「藤ヶ谷 旭」




藤ヶ谷 旭…




「お前と同じ 太陽の名を持つ」


「人を助け、誰にでも太陽のように照らしてやれる人になってほしいと願いを込めた」



…



「それともう一つ… 」



もう一つ？



「人は、くじけたり辛いことがあると負けてしまう時がある」



あ…



「太陽の名を持つ者は くじけても這い上がる強さを持ってると 俺は思う」

「その理由は、太陽は、沈んでもまた昇るからだ」



また陽は昇る…


繰り返す…



「だから 旭と名付けた」


「くじけても這い上がる子になりますようにと」



兄さんが再び旭を抱かせてくれた。



「お前も、想われ産まれてきたんだ」



…



「父さん、母さん、俺、綾瀬… 皆がお前を想い 愛してる」



…



「もう そのことだけは忘れるな」


「命の大切さ… この軽い旭だが、感じてくれ」




旭…




兄さん…





泣かないと決めてたのに…





涙が零れた。





命の重さが嬉しかった。

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