続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２８ 】

産まれた？ ページ32

◇◆ 早瀬・side ◇◆

予定していた時間に１時間ほどオーバーしたが無事終了した。


でも、患者が政治家の為、内容を記者会見する必要があった。


我が医院の院長の会見。


そう、俺の父さんだ。


俺は、執刀外科医と共にサブとして父さんの隣にいた。


午前３時… その記者会見も無事に終わる。



「はぁ〜… 終った… 」

「何を言ってる、お前は これからだぞ」



はっ！！



「そうだった！ひまは！？」

「今、分娩室に入ったそうだ」



！！



「ココは、いいから行け！」

「はい！ありがとうございます！」



走ってはいけない廊下を走る。


静かな院内に俺の吐く息と足音だけが響く。



「兄さん！！」
！！

「早く！！」
太輔！！



太輔に向かって走った。



「ひまは！？」


「中！早く！」



Aちゃんと太輔が俺の背中を押した。



でも、俺は 分娩室の前で立ち止まった。



「兄さん！！」


「太輔」



…



「行って来る」


「うん、… うん、行ってきて」



…



バーカ、まだ泣くのは早いよ。


この弟は…



「ん、じゃあな」




行く…




「早にぃ！頑張れ！」



ぷっ！！



Aちゃん、頑張るのは 向日葵だよ。



俺は、それを支えるだけだ。



「ふぅ〜… 」



息を整え、分娩室のドアを開けた。



「藤ヶ谷 向日葵の夫です、立ち合いに来ました」



入ると同時に叫び声が聴こえる。



「いやーーー！！いたーーーーーい！！」


「あーーーーーー！！！」



ひま…



「死んじゃうーーー！！いたーーーーーーい！！」



想像してたよりずっと大変だ…



「ぁーーーー！！やーーーーー！！」



こんな想いをして 産むんだ…



…



「向日葵、しっかりしろ！！」



俺に気付くと泣きそうに…



「遅いよ… バカ… 」


「ああ、ごめん」



手がゆっくり伸びた。



ぎゅぅう…



「力いっぱい握れ」


「うん… 」



皮膚に食い込むぐらいの強い力。


きっとこの痛みより ずっとずっと痛いはず。



「頑張れ… 向日葵」

「うーーーーーー… ぅ〜〜〜… 」



汗と涙が…



「お願い… 出てきてぇ〜… 」

「うーーーーー… んーーーー！！」




母さん…





お願い… お願いします…




「頭！出ます！！」



！！




「ぅ〜〜〜… ぁーーーーーー… 」





…







…








…








…







「はい！！産まれました！！」






え… ？







…







声は… ？

我が子誕生→←気丈な妊婦

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す