続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２２ 】

素直に正直に ページ36

４年前…


確かに 私は太輔の背中を押した。


それは、お互いに『大丈夫だ』と確信があったから…


でも、今は違う…


死を選ぶほど強い想い。


心の根底にある想い…


「医師」


松原医師が私を見た。


「… わかってるんです… 医師や太輔が言いたいこと… 」

「でも、怖いんです… 正直、すごく怖い」


失うのが怖い。


「医師の言うように心のどこかで… 許してないんです… 私」

「だから… 信じられないです… 」


言葉が信じられない…


「それに… 夢を追いかけてもいいって… 本当に思ってるんですか？」

「無理に言ってないですか？」


松原医師は黙ったまま…


「… さっき… 太輔から… 」

「死のうとしたって… 聞きました」


その言葉に恐怖を覚えた…


「太輔にそんな想いをさせてしまった… ぅ… っく… 」

「だから 怖いんです… 無理に… 言ってるんじゃなかって… 」


『フランスに行け』… と。


「太輔は… 優しいから… 」
誰より優しいから…

「… 側にいてあげたい… 」
太輔の側に…


愛する人の側にいたい…


「それが本当に彼の為になると思いますか？」
え…


「同情に似た愛情… それが君の愛情ですか？」


ドクン…


「… 太輔君は、そんなこと望んでいるかな？」

「強くなりたいのに… 強くなってほしいのに… 」



コンコン…



はっ！！


誰？


太…


「芦田さ〜ん、夕食ですよ〜」
夕食…

「おや、もうこんな時間ですか… ではそろそろ僕は失礼しようかな」
松原医師が立ち上がった。


看護師さんと入れ替わりでその場を交代。

目の前に夕食が用意された。


「君は、いままで太輔君の何を見てきたのかな？」
え…

「弱い部分ばかり見てきたのかな？」
あ…


「彼は、そんなに弱くないよ」

「だって、僕の親友の息子だから」


そう言うと、松原医師は私に優しく笑った。


「太輔君は、君を守る為ならどこまでも強くなる」


私を守る為…


「君の気持ちを… 」

「素直に… 正直に言いなさい」



『素直になってくれ… 』


素直… 正直…


「じゃあね」
はっ！


パタン。


松原医師と看護師さんは出て行った。


一人残された私。


目の前にある白い壁を見つめた。


この壁の向こうに太輔がいる。


『お前を愛してるよ』


太輔の想い…


零れ落ちる涙を止められない。


許せない気持ち…


側にいたい気持ち…


応えたい気持ち…


言っていいの？こんな気持ちを…

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