続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２２ 】

２つの味と溜め息 ページ29

私のカップ…


太輔が買ってくれた初めてのペアの物。


なぜかコレを見た時、頭の中でフッと何かが過ったの。


『たくさんお揃いがあるのね』


たくさんのお揃い… ペア…


「誰に言われたんだっけ… 」
頭の中で誰かの声が聴こえた。

「ん？何？」
あ…


太輔が私を不思議そうに見ていた。


「ううん、… 何でもない」
考えてもわからないな…

「… A」
ん？


太輔？


「お前さ、… 」
？？

「… はぁ〜… 」
？？


太輔が溜め息ついた。


「いいから食べよ… 冷めるから」
う… うん。


黙ったままコンソメスープを飲んだ。

やっぱり美味しいお父さんのスープ。

まだまだ全然足元にも及ばないな…

私もいずれこんな味が出せるようになれるかな？


「… 久利生さん」
ビクッ！！


シーン…


「久利生さんもすごく美味しかった」
え…

「味は病人食だから薄味だったけど、俺の為に考えて作ってくれた」
先生…


「さすがおじさんの弟子って感じ」

「でもさ… やっぱりおじさんの味とは違う」


え…


「なんて言うかな… 久利生さんの味って洗練されてるって言うか、斬新って言うか… 」

「一つ一つの食材がキレイで丁寧。一つの作品みたいな感じ」


作品…


「芸術家みたいな料理」
確かに…

「おじさんのは、あったかい味。いつどこでも食べてもほっとする味」
そう言うと太輔は また一口スープを飲んだ。


飲んだあと嬉しそうに『ふぅ〜… 』と一息。


「俺さ、どっちの味も好きだよ」
え…

「でも、俺はやっぱりおじさん派かな？落ち着くから」
太輔は先生の味より、お父さんなんだ…

「お前はどっちが好き？」
どっち… ？


それぞれ違う味… ２人ともすごい料理人。

大好きな味を出せる… ２人の味が好き。

どちらかなんて選べない…

でも 私は… 太輔の側にいること選んだ。


だから…


「私も… お父さんかな」
同じ意見にする。


シーン…


「… そうか… はぁ… 」
太輔？


何？


太輔が また溜め息をついた。


「何… ？太輔… 」

「お前さ、何で本当のこと言わないの？」


え…


「何で嘘つくの？」
ドキッ…


「朝さ、『話そう』って言ったよな？コミニケーション不足だからって」


「なのに… 何で話してくれないんだ？」



何でって…


それは…



「これじゃあ、ケンカした時と同じだろ？」


あ…



シーン…



「誤魔化すなよ… 」


太輔の瞳が険しくなった。

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