続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２２ 】

迎えに来るよ ページ1

◇◆ 早瀬・side ◇◆

安定剤の効き目が まだ薄いかもしれない…


一瞬の不安がよぎったに違いない。


『Aは 大丈夫だよね？』


いまだに Aちゃんのことが心配でしょうがないんだ…


でも、俺は笑い飛ばした。


少しずつ少しずつ不安を取り除いていけばいい。


２人でたくさん話して分かり合っていけばいい。


そうすれば、絆は回復するから…


２人の絆を信じよう。


「じゃあ、俺 帰るから」
そろそろ行かないとな…


待ってる人たちがいる…


『早〜♪』



ひま…



「も、もう？」
え…

「… そっかぁ… 気をつけて帰って… 」
このシュンとした顔…


たまらんな〜♪


可愛い。


「… うちの末っ子ちゃんは… ふぅ… 」
本当に可愛過ぎる。

「ぷっ… 真っ赤、サルみてぇ」
一樹が大笑い。

「なっ！？」
あ！マジ真っ赤か！


皆がゲラゲラ笑いだした。


「ち！違う！！さ、さっさと帰れーー！！」
おーおー、叫んでる叫んでる。

「やっぱ ガヤはイジられてなきゃ」
玉が笑った。


太輔が不満そうに俺たちを睨んだ。


「早く帰れ… 」

「治ったら迎えに来るから」


シーン…


「え… 」
太輔の顔が上がった。

「だから… ちゃんと治療するんだぞ」
ぽんと頭を撫でた。

「頑張れ」
なでなで。


シーン…


「… む… 迎えに来てくれるの？」
くすっ…


やっぱり末っ子は可愛い。


「ああ、綾瀬と二人で迎えにくるから。３人で藤ヶ谷に帰ろう」
太輔の顔がパァーとほころぶ。

「だから ちゃんと治すんだ。いいな！」
そして 嬉しそうに頷いた。

「じゃあ、Aちゃんを診てから帰るから」
太輔からゆっくり離れた。


振り向くと一樹が俺より先にドアから出て行くのがわかった。


「兄さん」
ん？

「ありがと」
太輔…


短い言葉だが 心からの感謝。


「俺 頑張るから」


俺は、その一言に頷き、笑って病室を出た。


パタン。


「ふぅ… 」

「おつ！」


一樹が目の前にいた。


「俺も帰らないとなぁ〜」
だな…

「香さん 大丈夫そうか？」
一樹が頷いた。


２人で太輔の病室を見た。


「アイツは 大丈夫」
ん…

「Aがいるから」
うん…


Aちゃんがいれば大丈夫。


「一樹」

「ありがと」



シーン…



シーン…



「何か言えよ… 人が礼を言ってるのに」

「あ〜？だってキモいも〜ん！」


キモ！？


高校教師がなんちゅう言葉使い！！


でも、一樹にとって 俺は、太輔同様 弟だった。

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