続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２１ 】

渉とニカのお願い ページ43

◇◆ 早瀬・side ◇◆

点滴投与から３０分…


どうやら薬が効いてきて かなりリラックス。


とくにコイツラがいるおかげで病室の雰囲気が明るい。


このまま Aちゃんが来ても この状態を維持してほしい。


「でも、橋野先輩のどこがそんなに良かったっすか？聴いてるとおぞましいんすけど… 」
確かに…


七海ちゃんはかなりの美人さんなのに強烈な性格してるんだな…


「七海は本当はそんなに強くないんだ」
え…


「あの時… 七海の手、震えてたよ」

「だって 相手は２つも上の先輩だよ？それも俺らより体デカくてさ… でも、七海… 俺を助けるのに必死だったんだよ… 」


ニカが嬉しそうに笑った。


「ななちゃんは、俺のヒーローなの」
ヒーロー…

「でもね、俺の前だけはヒロインになってくれる。そこが好き」
きっと…


ニカの前だけは素直な女の子になるんだろうな。


「それに 超〜えろいし♪」
は？

「… お前、それ言わんでいいこと」
渉がニカの頭を小突いた。


ニカは慌てて口に手を当てた。

でも、目がニヤニヤしていた。


「とにかく、ニカは七海ちゃんが大好きってことで… で？渉は？」
俺は、横にいる渉に話を振った。


もう少し太輔をリラックスさせないと…

点滴は まだかかる…


「え？俺？… 俺は… 」

「恭子ちゃん！」


へぇ〜 渉にもいるんだ。大事な子。


「ニカは何でも知ってるんだな」
ニカが得意げな顔をした。

「今度 東京で会うことになってて楽しみなんです！」
そっか…


ニカたちも東京にくるんだな…


「いいな、俺も会いたいな。渉の恭子ちゃんに」
太輔の顔…


穏やかな顔だ。


「うん、じゃあ、皆で会おうか」
太輔は嬉しそうに頷いた。

「東京で思い出したけど、… 修正やってないよな… あれから」
修正？


何だ？


「悪いが過去のデータを反映させて 再度シュミレーションしてくれ」
太輔の目が…

「それから… 」
険しい…


ヤバイ… 効き目が…


「太… 」

「ガヤ」


え…


「わかったから。心配すんな… ちゃんとやるから」
ニカと渉が立ち上がった。

「早瀬さん、お願いがあります」
え…


２人が俺に頭を下げた。


「… 最終プレゼンはガヤ無しでは勝てません」


シーン…


「そうなんです！でも絶対に勝ちたいんです！だって ガヤの夢だから… 」


シーン…


「渉… ニカ… 」


２人は 俺にある願いをした。


それは、太輔の完治にとって 紙一重の願いだった。

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