続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２１ 】

簡単で難しいリズム ページ39

○○ 伊吹・side ○○

早にぃは わかってる…


綾ねぇも… 気づいてる。


「睡眠？… 寝ること？」
そう…

「… ガヤ先輩はね… Aが眠りについてしまって… 」
思い出す声…


切なく哀しい声が私の中で響く…



『逝かないで… 』



シーン…



「… 伊吹？どうしたの？」
あ…


「… ううん、ごめん。えっとね… 」

「この１週間… たぶんまともに寝たのって昨夜くらいだと思う」


Aの瞳が見開いた。


「え… 寝てない… ？寝てないって… ？」
私は目を逸らさず頷いた。

「… うん。たぶん…Aが心配で寝てなかったと思う」
あの夜のことは言わない方がいいよね…


Aには負担だから。


「やっぱり… 寝てなかったか… 」
早にぃたちは溜め息をついた。

「検査数値が悪かった変だと思った… 痛み止めや薬を投与してるのにまったく効かなかったからな… 」
だから治ってない…


目覚めた今もきっと心配でしょうがないと思う。


「Aちゃんが目覚めても 太輔の中で『もう大丈夫』と無意識にならなければ眠らない」

「また眠りにつくかもしれないと考えさせない為に安定剤を使用することにしたんだ」


うん… 早にぃたちの判断は正しいと思う。

恐怖や不安を取り除かないと… 興奮し眠れなくなる…


酷くなれば… 不眠症になる。


「昼は安定剤を… 夜は睡眠剤を使用する」
２つの薬…

「自然のリズムに戻す」
自然のリズム？


「朝になったら起きて 夜になったら寝る… 簡単なリズム」

「簡単なリズムだけど 難しいんだ… 実は」


簡単で難しいリズム…


「このリズムを１週間繰り返す」

「Aちゃんも同じリズムでリハビリしてほしい」


リハビリ…


「大丈夫。本当に簡単なことだよ… 朝、『おはよう』と言い、夜は『オヤスミ』と言うだけでいいんだから」

「昼間はお互い好きなことして過ごせばいい。あ、いちゃいちゃしててもいいぞ」


早にぃはにっこり笑った。


「たくさんたくさん話して… もう一度お互いを知ってほしい」

「Aちゃんの思ってること… 太輔に伝えてほしい」


Aが思ってること…


たくさんあるよね？


「この１週間は、お互いを知り 信頼を取り戻すのに使って」


大切な１週間が始まる…


Aたちも大切な時間だったけど 楓さんと香月にとっても大切な時間。


それぞれのパートナーが悩み考え答えを出した１週間だった。

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