続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２１ 】

貯金の使い道 ページ26

●● 伊吹side ●●

ドアを開けたら廉耶君と楓さんがケンカになってた。


どうやら２人に何かがあったみたい。


「大丈夫？」
黙って頷いた楓さん。


泣いてるのかな… ？


「ふぅ… 廉って… 本当に頑固なのよね… 」
頑固… ？

「そうなの？柔軟性あって社交的に見える。まぁ、チャラくも見えるけど」
楓さんがくすくす笑った。


でも、すぐに笑顔がなくなった。


「頑固よ… 見たでしょう？さっきの廉」
うん…

「何が何でも自分で責任を果たしたいのよ… 父との約束を」
父？


お父さん？？


「同棲する時にね… すごく反対されたの」
そうなんだ…

「でも、廉がどうしても一緒にいたいからって… 頭を下げて… 」
廉耶君って…


すごく楓さんが好きなんだ。


「そしたら父… 援助なしならいいと言い出して… やれるもんならやってみろって… 」
援助なし！？

「すぐに根を上げると思ったんでしょう… でも、廉の頑固さ知らなかったの、父は」
廉耶君って…

「もちろん、父は学費は出してくれてる。でも生活費は全部 廉」
すご…


全然 チャラくないじゃん。


「私も働こうとしたんだけど… 廉が反対で… でも、最近 条件を出して家庭教師のバイトを始めた」
条件？

「私の方が１つ年上でしょう？」
うん…


それがどうしたの？


「弁護士になるためには司法試験がある」
？？

「貯金は、私のテキスト代や受験代」
え…

「それを自分で稼ぐって条件で家庭教師のバイトできたの」
楓さんの為…


全部 楓さんの為なんだ…


廉耶君の楓さんを想いやる心がわかる…


「でも、今… 廉は弁護士事務所 クビになっちゃって… 収入がないの」
うわぁ…

「それ… ヤバイじゃん」
楓さんが頷いた。


だから貯金を使おうって言ったんだ。


「… ２人で頑張るって言ったのに… 頑固で聴いてくれない」
う〜ん…

「頑固ダメだね」
楓さんが笑った。

「でしょう？もう 本当に困っちゃう」
うんうん。


それは困るね。


「でも… 嬉しくも思う自分がいる」
え…

「廉の愛が大きいってわかる」
うん…


すごく大きいね。


「すごく羨ましい！素敵！！」
いいなぁ！

「でもね」
え…


でもね？？


「私も廉に対する愛は同じ」

「同じくらい愛してる」


楓さんは、私をしっかり見つめ言った。


言われたこっちが赤面するほどの真っ直ぐな瞳だった。


『対等でいたい』…


それが楓さんのプライドだったんだ。

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