続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２１ 】

精一杯の指輪 ページ21

○○ 宏光・side ○○

さっきから大人しいな… 廉耶の奴…


まぁ、昨日 聴いた話からするとわからんでもない。


頭の中でいろいろ考えてるんだろうな… って！俺も考えないと！！


「やっぱ… ローンだよな」
なるべく借金したくはないが…

「婚約指輪っすか？」
ビクッ！！

「… んな、驚くことないじゃないっすか… 」
… 驚くだろ…


ぼーっと宙を見てた奴がいきなり話しだしたら…


「まぁな… もう時間ないしさ ここんとこバイトもしてないから無理ぽくてさ」

「かといって… 親には頼りたくないし」


手を見つめた。


「自分の手で何とかしたいっよね… 」
だな…

「だから ローンかな？と… 考えていたわけさ」
廉耶が小さく頷いていた。


２人で溜め息。


「いくらぐらいっすか？婚約指輪って」
ん〜…

「AKIMOTOで見た時は… 片手じゃ足りなかった」
うげっ… ってなった顔の廉耶。

「アイツん家 ぼったくりじゃね？」
ぼったくり…


どうかな？


「でも、東京の方が高かったぞ」
さらに うげげっ… って顔。

「東京は基本高いっすからね… 何でも」
うん…

「AKIMOTOで買った方がいいかもしれないっすね。割引してくれるかもしれないし」
割引…


でも…


「一生一度のモノだから 割引したのは… どうかと思う」

「今の自分ができる精一杯を贈ればいいんだよ」


え…


「おじさん… 」
にこにこしながら俺たちの話を聞いてたみたいだ。

「俺もさ、結婚式おろか婚約指輪だって渡してないんだ」
え…

「貧乏でさ… それどころじゃなかったから… 贈ってあげたかったな洋子さんに」
そうなんだ…


そう言えば、４年前ノリノリで結婚式の衣裳着たよな。


「そう言えば、玉もそうだろ？婚約指輪はシルバーだったよな？確か」
あ… そうだ…

「確かに価格は安いかもしれない… でも、玉の精一杯がこもってる」
心…


「指輪の価値は、その人が… 贈られた者が決める」

「贈り人の心が反映される… それがエンゲージリング」


そっと玉の横にいる綾ねぇを見つめた。

左手薬指に光る２つのリング…

シンプルなデザインの為、婚約指輪と結婚指輪の２つをしていた。


「そう言えば、柚菜の母親も似たようなこと言ってましたね… 」
あ…


『エンゲージは、決意の表れ』


柚菜の母親… さつきさんの言葉を思い出した。


今の自分が出来るの精一杯の婚約指輪…


俺は、伊吹の寝顔を見て もう一度AKIMOTOに行こうと思った。

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