続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２１ 】

太ワンと愛する２人 ページ13

笑顔で笑顔に…



シーン…



誰もいない屋上のテラス。


朝の爽やかな風が私たちの間を吹き抜けていく…


私を呼ぶ優しい声…


ゆっくり振り向くと… 笑顔の太輔がいた。

ニコニコ笑ってて… ドキドキする反面…

チャペルでの約束を忘れてるみたいで ちょっとがっかり。

私だけが勝手に思ってただけなのかな？


「あっかんべだって言ってるで… 」

「嵌めるから」


…


嵌める…


太輔は、胸元にある桜子さんの指輪を見せた。


「必ず嵌めるから」
嵌める…

「『いつか』は… 守る」
太輔…


キラキラと指輪を振りながら笑った。


桜子さんの指輪…


その意味はわかる。


『いつか』を… 左手に嵌めると言うことだよね？


「… うん、待ってる」
あなたが嵌めてくれることを待ってる。


太輔がゆっくり私に近づいた。


「キスして い？」
親指が唇に触れる。


シーン…


「… だ… ダメなのか？」


シーン…


「… まだ 怒ってんの？」
ジッと無言で見つめた。

「… 怒って… す… すみません」
ぷっ！！


耳が垂れた子犬のように シュンだーー！！


可愛いーーーー！！！


「許してください。ごめんなさい… 」
さらにぺこりとして謝った。


だ…


ダメだ… 可愛い過ぎる。


「って… さっき許してくれるって… な！？何 笑ってんだよ！！」

「それも 声を殺して！！」


ひぃ〜 ダメぇ〜！！


「あはははは！！だって太輔ってば！！わんこみたいなんだもん！あはははは！！」
おかしい！！

「はぁ！？わんこぉ！？」
わんこ！！

「うん！ご主人様に『メッ！』って叱られた時のわんこみたいなんだもん！可愛いーー！！あはははは！！」
まさにその顔！！


あ！真っ赤になった！！


「お前… 言わせておけば… 」
げっ！？ヤバ…

「きゃーーー！！太ワンが怒ったーー！！逃げろーー！！」
あはははは！！


太子ちゃん改名・太ワン！！なんてね〜♪きゃは！！


「誰が『太ワン』だ！！コイツ！！」
きゃあーーー♪




「A！！」



え…



「A… 」
あ…




シーン…




「皆… 」




振り向けば…


私たちを見つめるたくさんの瞳。



その中で一番に目に入った２人。


一人は、口元を押さえ ぽろぽろと零れる涙を必死で抑えてる…


もう一人は、瞳を潤ませながらも 私を見て笑おうとしていた。



「… お父さ… ん… 」




「お母… さぁ… ん… 」




私を一番愛してくれる２人だった。

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