続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２１ 】

痛い許しと未来の約束 ページ12

◆ 太輔・side ◆

え…


今、小さく聴こえた声…


『許すね… 』


ゆっくり体を離して Aを見つめた。


「… 許すね」
もう一度言ってくれた。

「でも… 」
でも…


え… ？


なっーーー！？！？


ぎゅむっ！！


「いてぇーーー！！」
いててて！！


頬を 思いっきりつねられてるーーー！！


「今回だけだからね！もう二度とこんなことしたら許さないんだから！！」

「次、こんなことしたら… したら… 」


あ… A…


「絶対… 許さ… ない」

「許さないんだからぁ〜… ぅぇ〜… 」



うん… ごめんな。



「ありがと… A」



俺は、しばらくの間 抱きしめ続けた。



「… 鼻… 痛い」
あ…

「こんだけ泣けばな… スゲー鼻水」
病院のブルーのパジャマが…


シーン…


「誰のせいよ… 鼻水くらいで文句言わないで」
うっ…

「だいたい、人を勝手に殺さないで！」
うっ…


「でも… だって… 低体温症… 」

「私は死なない」



ドキッ…



「絶対に死なないよ」

「死んだりしない」


あ…



笑う…



「私は、太輔を幸せにするんだもん」
俺の好きな…

「そして 幸せにしてもらうんだもん♪えへへっ♪」
笑顔だ…



ドキドキ…



ドキドキ…



「約束は守ってもらわないと！ね！」
約束…


未来の約束… それは…

『いつか、本物を嵌めるからな』と約束し 指輪を左手に嵌めた。

鮮明に蘇ってくる記憶…


今、あの時の笑顔で笑ってくれる…


この笑顔が 俺の好きなひまわりの笑顔だ。



シーン…



「ん？何なの… その無言って… 」
え？


「あ、違… 」

「あー！わかった！約束 覚えてないんでしょう！！うわー！最低ーー！！」


げっ！！


笑顔を魅入ってたのがまずかった！！


「もういいです！！ふんだ！！」
怒った！！

「あっかんべーだ！太輔のバカ！！」
でも…


これは… わざとだ。わざと明るく振る舞ってる…

俺には そう見える…


優しいA。


大好きなA。


愛しいA。


お前に誓う… 二度と同じ過ちはしないと。


俺もお前を幸せにする。


俺も幸せになる。


そうさ… 俺たちは幸せになるためにいる。


「A！！」
くるりと振り向いた。


「あっかんべだって言ってるで… 」

「嵌めるから」


母さんの指輪を向けた。



サァーーーーーー…


… と、夏の風が爽やかに通り過ぎて行く…



「必ず嵌めるから」



俺は、再び未来の約束を誓った。

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