続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２０ 】

涙の雨 ページ40

◆ 太輔・side ◆

シーン…




シーン…



『… い… すけ… 』



シーン…



『太… 輔… 』



ん…



シーン…



『太輔… どこ？』



誰… ？



『… 太輔… 』


この声…


「はっ！！」


ガバッ！！


「A！」
え…



シーン…



「ま… 真っ暗… 」
電気…


動揺しててライトのスイッチがわからない。


「どこだっけ… 」
目を凝らして横のチェストに手を伸ばす…


カタン…


「あ、ごめん」
フォトフレームを倒しそうになった。

「確か… この辺り… 」
ん？


何だ？この小さいの…

手に小さな箱らしき物の感触。


パチッ…


「あ… これ… 」


ドクン…



ドクン…


「か… 母さん？」
白いベルベットの小箱。


ドキドキしながらその小箱を開けた。


「あ… 」
あ…

「か… 母さんだ… 母さんの指輪だ… 」
皆で見つけた指輪…


涙が零れて仕方がない…


「戻ってきたんだ… 戻ってきた… あぁ〜… 」
抱え込み力いっぱい抱きしめた。

「良かった… 良かった… 母さん… 」
大切な大切な指輪。


また ゆっくり小箱を開け見つめた。


「綺麗になってる… 」
泥だらけだったのに…

「あ… チェーンもだ… もしかして… 」
脳裏に浮かぶ人…


シーン…


「そっか… 直してくれたんだ… 秋元」
そっと指輪を持った。


シャラ…


「父さんにもらった時と同じ… 綺麗だ」
同じ輝き…

「ごめんなさい… 辛い想いさせてしまいました」
指輪を頬に当てた。


母さんの温もり…


「もう 二度となくしません… ごめんなさい」
母さん… ごめん。

「良かった… 良かった… ぅぅう… 」
涙が止まらない…


『泣くんじゃない！！』


「止められないよ… 姉さん… 」
男のくせに…


情けない…


『泣きたい時は泣け！！』


「兄さん… 今だけ… 今だけ… 」
泣かせて…


指輪を手にした安堵感から涙腺が緩みっぱなし。

数分間、指輪を抱きしめ泣いた。


「て… ティッシュ… 鼻… かも… 」
横にあったティッシュを数枚取り…


思いっきり鼻をかんだ。


「… ずずっ… はぁ〜… スッキリした」
たくさん泣いた…

「ん、もう大丈夫」
顔を数回ペチペチ。


ゆっくり深呼吸した。



ギシッ…


とん…


　
ベットを降り… 指輪を握りしめた。



シーン…



「雨だ… 」



窓に水滴。



「泣いてる… 行かなきゃ… 」



指輪を持ち 愛する者の元へ…


慈しむ者の元へ向かった。

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