続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２０ 】

時が来た ページ39

◇◆ 早瀬・side ◇◆

パタンとリビングのドアが静かに閉まった。


俺は、今までみつたちがいたソファーにドカッと座った。


「ふぁぁ〜… ねむ… 」
気づけば日付けが変わっていた。


静かなマンション内…

広いリビングに一人きり。


「寝よ… って、寝れない」
カバンからパソコンを出した。

「仕事… 仕事」
眠い目を擦り画面を見つめた。


今週のバチスタは…


「３件… 予定通りだな」
当直医師とメールでいろいろやり取り。

「え… 明後日でいい？マジ？」
でも…


『５時交代してほしい』


「５時… 明け方… 一番リスクの高い時間帯」
心臓病患者の血圧がもっとも上がる時間帯。

「４時には行く… 」
そう返信をした。


散々迷惑かけたんだ… 頑張らないと。


「じゃあ、２人を見てから帰れるな… 良かった」
少しほっとした。


ニカの話だと奇蹟は 誰もいない時に起こる…


今がその時かもしれない。


ギシッ…


シャ！！


ソファーから立ち上がるとカーテンを開けた。


「雨… 」
霧雨のような雨が降ってる。


静かな雨…


「時が… 来る… 目覚めの雨… 」
奇蹟よ…

「どうか… ２人を… 」
母さん…


太輔を…


Aちゃんを…


「目覚めさせて… 」
２人に笑顔を…

「お願いします… 」
俺は、天に祈った。


その時、俺以外でも祈っていた。


みつ…


玉…


廉耶…


一樹…


綾瀬…


父さん…


思い浮かぶ人々の顔。


２人を想う者たち…


それぞれがそれぞれの心の中で…


『２人が目覚めますように… 』と。

『ひまわりの笑顔が見れますように… 』と。


太輔のため…


Aちゃんのために…




そして… 翌日。


俺たちが病院を訪れた時…


２人は、病室にいなかった。


俺たちは、必死で２人を探すことになる。


でも… ２人は笑顔でいた。


雨が上がった太陽の下…


２人は、俺たちに笑ってくれた。


ひまわりの笑顔で…

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