続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２０ 】

心を込めて… ページ13

■□■ 柚菜・side ■□■

早瀬さんが私の手に指輪を乗せた。


戻ってきた 藤ヶ谷先輩の大切な指輪。


「本当にいいんですか… 」
早瀬さんが頷いた。

「ただし」
え…

「一つ約束してくれるかな？」
約束？


早瀬さんが愛おしそうに指輪を触った。


「心を込めて綺麗にしてほしい」
心を込めて…

「Aちゃんが目覚めるように… 」
Aが目覚めるように…


一樹さんに抱かれスヤスヤ寝ている先輩を見つめた。


「君が心を込めれば、きっとこの指輪は輝きを取り戻し Aちゃんは目覚める」
私の心…

「やってくれるね？」
早瀬さん…


私は頷き、指輪を握りしめた。


うん… 私…

心を込めるよ… A…


「俺からも一つお願いがあるんだけど」
わ！！

「は！はい！！何ですか！？」
にこにこの一樹さんだ！！

「コイツさ、いつ目覚めるかわかんないから なるべく早く仕上げてくれるかな」
あ… そうだよね…


Aが心配だから すぐに目を覚ますかもしれない。


「わかりました。すぐに綺麗にしてきます」
ぺこりとお辞儀した。

「柴崎！行くわよ！！」
急いでやらなきゃ！！


柴崎も急いでくれる。

自社ビルにつくとすぐにクリーニングに取り掛かる。


「チェーンは ダメだな… 」
うん…


私が先輩から引きちぎったから…


「指輪は？綺麗になる？」
柴崎が席を立った。

「座れ」
え…

「自分でやるんだ」
自分で…


うん…


「心を込めてな… 」
はい…


柴崎にレクチャー受け…


ビィーーーーー… ン…


「振動で泥が… 」
どんどん綺麗になっていく…

「次は、こっちの液体に入れて… 」
はい…


青色の液体に浸かる指輪。


「綺麗になぁれ… 綺麗になぁれ… 」
待つ間呪文のように唱える。

「… よく頑張ったな」
え…


柴崎…


「… うん」
なんでかな…


おじいちゃん…

私ね… 今、嬉しいの。


柴崎が隣にいてくれるだけで 嬉しい…

ん？あれ？嬉しく感じるのって変かな？


でもね…

柴崎が側にいてくれると安心するの…

まるで おじいちゃんが側にいた時のようだよ…


「ん？どうした？」
え？

「うっとりして… 疲れたか？」
うっとり！？


はっ！？


私！？


うっとりしてたの！？柴崎に！？


「疲れてるかもしれないが… 」

「疲れてない！！」


私は、頭の中から柴崎を追い出し指輪に集中！！


１時間後…


「綺麗になった… 」


心を込めた指輪は、見事に輝きを取り戻した。

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