続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２０ 】

泣き止む方法 ページ1

◆ 太輔・side ◆

辻さんの涙は止まらない…


止めてあげるために言ったのだが 余計涙を誘ったようだ。


「つ じじ？どこか いたいいたい？」
え…

「てあて どこ？」
凛斗…


俺たちの横にちょこんと座った凛斗。

心配そうに辻さんを覗きこんでいた。


「早にぃ なおしぃて！！」
兄さん…

「ん？ああ、大丈夫だよ。もう痛くないよ。ね？辻さん」
痛くないかな…


少しは、楽になったかな？


「え〜？？つじじ… ないてるもん」
凛斗は納得してない顔。

「凛斗様… 私は大丈夫です。もう… 痛くありませんから」
！！


うるうるの瞳が頷く。


「太輔様に… 治して頂きました」
凛斗が俺を見た。

「え〜？… 太 すけが〜？？なんで〜？？」
ぷっ！！


凛斗の不思議そうな顔。

無理もない… 痛い病気は医者が治すと思ってるから。


「ほら、辻さんが泣き止まないと信じてくれません。泣きやんでください」
俺は、茶目っ気たっぷりで言った。

「太輔が変顔すれば泣き止むんじゃね？」
は？


変顔…


「こう？」
俺は、顔を思いっきりへしゃげて見せた。

「きゃははは！！太しゅけへーーん！！きゃはははは！！」
でも、笑ったのは凛斗だけ。

「変顔センスゼロ… 」
な！？


一樹と兄さんが頷いた。

玉と姉さんは無言… 目が少し笑っていた。


「だったら… そんな無茶ブリすんなよな… 」
まったく…

「それより、もう立ちましょう… 膝に悪いですから」
これ以上 土下座させたくない。


ゆっくり辻さんを立ち上がらせた。

凛斗も辻さんのお尻をよいしょ！


「太輔様… ありがとう… ございます… ありがとうございます」
涙を堪え…

「皆様も… 本当に… 本当に… ありがとうございます」
一言一言絞り出す言葉。


その切ない声に 俺は、心が熱くなった。

それと同時に これでもう辻さんは大丈夫だと確信した。


もう 大丈夫。


「ガヤ、辻さん」
ん？

「そろそろ出かけるから」
え？


もう？？


「俺 メシまだなんだけど… って、お前がおじさんのお粥持ってくるって言うから 何も食ってないんだぞ！！」
鳥粥ーー！！

「ああ、それ？」
『ああ』だぁ！？


玉が笑った。


「河川敷で待ってるって」
え？

「あったかい方がいいだろうって… 」
おじさん…


「ちゃんと 辻さんの分も用意してあるって。鳥粥＆薬膳粥」


おじさんは、俺たちのことをちゃんと考えてくれていた。


おじさんの想いに再び胸が熱くなった。

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