【d!】液状生命体【gr】 (ページ5)

今日:9 hit、昨日:2 hit、合計:20,665 hit

五滴ページ5

「シスター、最近隈が酷いわ、ちゃんと寝れてる？」

『え、えぇ…最近夢見が悪いからでしょうか…』

「それは大変！お香を焚いとくわ、良い香りなの！」

『…感謝致します』

彼は夜にしか行動が出来ないらしい。

私の住んでいる部屋の窓を開けていると黒い鳥がパタパタと飛んできては人間に化す彼がいる限り寝れはしないのだ。

今日も今日とて彼はやってきて、ベッドに寝転がる私の隣に座る。

「隈が、ひどいな。今日は休むと良い」

『…良いの？』

「…寂しいが、Aが死んだらもっと寂しい」

ここはお言葉に甘えておくべきだろう、と垂れた耳が見える程落ち込んでいる彼に布団を上げて入るか、と言えばすぐさま入ってくる。

低体温の彼がぴったりとくっついてきて、温かいのかもっと、と擦り寄ってくる姿は犬に見えてしまう。犬に変貌していないのに。

今夜はゆっくり眠れそうだと深く息を吸う間もなく、乱暴に扉が開けられた。

「シスター……！？だ、だれ…っ！！？」

『あっ…！？』

シスターを結婚は許されない。

この状況を見て、そっちに判断しない方が無理な話である。

待って、と言うまでも無く彼女は驚き後ずさりながら月の光を反射させる十字架を握りしめていた。

「あっ……悪魔っ！！」

『え……？』

真隣からどろっといつの日かに聞いた粘着質な液体の音がした。