四滴 ページ4
『だっ、大丈夫ですか…？』
まだ傷が付いていない左手を使って涙を拭うとそっちでは痛みを感じなくて、容易に拭うことができた。
少し驚いたように目を丸めるとすぐに彼は私の左手をあに自身の手を重ねる。
「……あったかい、」
『あの…っ？』
「…仲間が、欲しかっただけなんだ、」
彼は言う。
その姿のせいで化け物、悪魔と散々罵られ、孤独な思いをして今まで生きてきたことを。
仲間が欲しくて目に入った子供達を攫おうとしたことを。
液体で誰にでも姿を変えられるが、本当の自分を理解してくれるのは誰一人としていないことを。
……寂しい、ということを。
『あなたは、悪魔なんですか？』
「……人間は俺のことを、そう言う。だから、そうなんだろう」
『………お友達になりません、か？』
見てられなくて、可哀想で、困ってる人に手を差し伸べるのがシスターの役目だから。
今さっき神様を裏切ったばかりの黒いシスターが何を言うか。だけど、どうしようもなく、彼を助けたかった。
「…！いい、のか。おれが、」
『だけど、これからは子供達だけじゃなくて民衆には手を出さない、これが条件です』
「！わっ、分かった！絶対だ！」
『ふふ、では約束ですね』
そう小指を立てて差し出すと、彼はまた不思議そうに小首を傾げる。
約束の印だと告げるとまた頭を悩ませながらも彼の手を掴んで無理矢理小指を絡ませた。
『…針千本のーます、指切った』
「…？どういうことだ？」
『約束を破ったら針千本飲ますっていう罰です』
「！！？…あっ、危ないじゃないか…！」
彼は聞くや否や慌てだして罰は要らない、と首を振り続ける。
だけど、そういう口約束なのだから、しょうがない。
姿は黒いのに純粋な彼に「じゃあ君が罰を決めていいよ」と言うとピタッとその動きが止まった。
「なんでも良いのか…？」
『できる範囲でなら』
「＿＿＿…じゃあ、」
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