【文豪ストレイドッグス】suddenly kiss【短編集】 (ページ45)

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さんこいちページ45

「Aちゃーん、お昼、一緒食べに行こ～」

黒一色の服の端々からその身に似合わぬ白を覗かせながら、へらりと笑って太宰がAを呼ぶ。

「最年少幹部様ともあろう人が、こんな処で油売っていていいんですか？」

「そうだね。Aの言う通りだ」

固い声音に振り向けば、安吾が丸眼鏡を押し上げながら此方に歩み来る所であった。

少し後ろには織田作の姿も見え、彼はAに気づくと、ちょっと困ったような笑みを見せる。

同僚が現れたことに文句を言い始めた太宰をそのままに、無手の安吾は突っ立っている彼女を唐突に抱き締めた。

「なっ……！！」

「Aの昼ご飯は、僕が先に約束していたんですよ、それを横取りだなんて」

全く非道い、と頭を振りながら、ごく自然な動作で安吾は己の腕の中にいるAにキスを落とした。

ふわりと微かに香るムスクの匂いが、彼の知らぬ一面を見れたようでどこか嬉しい。

「安吾！！」

何故か憤った様子の太宰が、安吾に掻き抱かれたままのAに駆け寄り、彼も又、強くその唇を押し付けた。

熱情だけを込められた技術も何も無いキスは息苦しくて、脳から酸素と共に理性まで無くしそうだ。

辛うじて動かせる左手を伸ばして視線で助けを求める。

果たして、細指は確かに織田作によって掴まれ、Aは2人の間から抜け出した。

「はぁ、助かりました。突然なんなん……っ！？」

「あっ！織田作まで！」

此方に屈み込んだ救世主と思われた男はその期待を裏切って、早くも熟れ始めたAの唇を食んだ。

誰よりも熱をもって触れてくるのは照れ故か。

「咄嗟に、奴らに渡したくないと思った。驚かせてすまない」
「こう簡単に奪われては堪りませんね……どうかなってしまいそうだ」
「一寸後で私の部屋に来て。色々言いたいことある」

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太宰「嗚呼、満点の星空だと言うこと無いね！」
織田作「山奥に行くと綺麗だぞ」
安吾「どうしてこう捻りが効かないのか……」