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最近は中原さんだけでなく、芥川さんや樋口さん、太宰さんなどとも一緒に任務にあたることが多くなった。

……それほど期待されてるのかな。

とか、一人でわくわくしているけれども、たぶん違う。

私にも異能があるのはわかっている。

だが、なかなか出ない。

首領は、「異能の近くにおけば、影響されるだろう」と、そう言っているらしい。

太宰さんからだからあまり信頼できないが。

ともあれ、今日も私は、もう着慣れた黒服に身を包んだ。




「私ってマフィアに向いてないんですかね」

ぽつんと樋口さんが呟いた。

工場内にいる全ての従業員を息絶えらせた後だった。

「なんで?」

「だって私、芥川先輩みたいに異能使えないし……」

「それだったら私だって使えないしー。それに拳銃だって使えないよ?」

そう。何をしに来たのかと問われても「いやぁ」としか言えないほど私は無能だった。

現場に居るのは、異能を発現させるためだけ。

中原さんにはいつも庇ってもらっている。へへーいいだろー。

「芥川先輩には迷惑ばっかかけちゃうし」

おお、珍しい。ネガティブ樋口さんだ。

「でもちゃんと助けてくれるじゃん、芥川さん。それで満足しちゃ駄目かな」

意地悪く微笑みながら言ってみる。

樋口さんが芥川さんに惚れてるのはなんとなーく分かってる。

芥川さんかっこいいし。

「ん、そうだね。……甘えてみるのもありなのかな……」

よし、笑顔が戻った。

「戻るぞーお前ら!」

中原さんの声が聞こえた。

はーいと元気よく返事を返して、樋口さんに手を伸ばす。

「さ、帰ろ!」

しかし彼女の目線は私の後ろに注がれていた。

硬い表情で後退り始める。

「え、えと……樋口さん?」

「早くこっちに来い!!!」

突如焦りを含んだ中原さんの声が工場内に響いた。

直後。

「くはっ……!?」

何者かによって私の身体は宙に浮いていた。

首に太い指を掛けられ、徐々に気道が狭くなる。

「ちっ。生き残りか」

中原さんが残りの構成員に指示して新たな布陣をとる。

しかし。

「銃で狙おうにも盾にされます!」

「芥川ッ!羅生門は!?」

「あのように持ち上げられていては共に貫いてしまう」

相手も深手を負っているのか掛かっている力はそんなに強くない。

ただ首を掴まれているだけで私の意識は遠のきつつあった。

「死ぬなよ!?」

誰の声かもわからない。

だんだんと照明が落とされていって……

私は闇に落ちた。

異能→←帰り道 【中原 中也】



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ワンコンコン - 面白いダス (2019年7月21日 0時) (レス) id: ad92a05ced (このIDを非表示/違反報告)
きみぺ - すごく面白いです!!!更新頑張って下さい!!!めっちゃ応援してます(≧∇≦) (2016年8月8日 21時) (レス) id: f3497d4bfc (このIDを非表示/違反報告)
うちを - 太宰さん!太宰さんお願い致します!何とぞよろしくお願い申し上げますっ! (2016年6月12日 22時) (レス) id: 67f1d4205b (このIDを非表示/違反報告)
久田 螺々亜(プロフ) - 真衣さん» コメントありがとうございます。わ、わかりました……!ご期待を沿えるよう努力致します! (2016年6月1日 23時) (レス) id: a7a03e9879 (このIDを非表示/違反報告)
真衣(プロフ) - 中也オチを頼みます。 (2016年6月1日 20時) (レス) id: f1da17ec5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:久田 螺々亜 | 作成日時:2015年6月27日 21時

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