鶴が五十九人 ページ11
鶴丸の大きな声に驚き、溜まっていた涙が流れた
それは私だけではなく、鶴丸の金色の瞳からも涙が溢れてきた
『何で、国永が、泣いてんの…！！』
「君が、いなくなるんじゃないかって、怖かったんだ！！」
私達は向かい合い、お互いに涙を流していた
「あ、主…さん…っ！ぐぅっ」
「ほんと、どいつもこいつも使えないわね」
その言葉に振り返ると、今にも堀川を折りそうな刀澤さんがいた
「主やめてくれ！国広を折らないでくれっ！」
和泉守の悲痛な叫びも、刀澤さんには届いていないみたい
だから、さっき粟田口の短刀は解刀してくれって言ってきたんだ
『おじい！』
「あいわかった！」
三日月は目に止まらぬ速さで堀川の本体を私の元に持ってきてくれた
刀澤さんの刀剣たちは私が何をするのかと訝しげな目で見てきた
『さっき、あなた達の本丸の薬研に、みんなを解刀してくれって頼まれたの
だから…この堀川国広も解刀します』
普通は“嫌だ”とか、“まだ戦える”とか、否定の言葉が出てくると思った
でも、相棒の和泉守から出てきた言葉は
「俺たちは、やっと楽になれるんだな…」
目に涙を貯めて、そう呟くように言った
その言葉を肯定と受け取り、この場にいた刀達を解刀した
『お疲れ様でした、ゆっくり休んでください』
光となった刀剣達に私はそう言った
今まで、この黒いモヤを背負って大変だったと思う
だから、せめてゆっくり休んで欲しい
「…私の刀達を、勝手に、壊したの？」
かつての優しかった刀澤さんはどこへ行ったのだろうと思うくらい、今の彼女は恐ろしかった
「鶴丸、貴方だけは、私を裏切らないわよね？
私の大切な“燭台切”を折ったのだから！！」
そう言って刀澤さんが出したのは、時間遡行軍と成り果てた刀剣男士たちが付けられていた呪詛の札だった
それだけあっても鶴丸の本体がないと意味が無いはず…
鶴丸を見ると、腰に太刀が無い
『国、なが…？』
まさか、本体を取られていたのかっ！？
刀澤さんの方を急いで向くと、確かに“鶴丸国永”がその手にあった
何のためらいもなく、刀澤さんは鶴丸の本体に札を貼り、霊力を流し込んだ
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ！！」
耳を塞ぎたくなるような鶴丸の叫び声が地下牢に響いた
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夷空斗(プロフ) - 蒼い薔薇さん» コメントありがとうございます！なんとか完結させることが出来ました！この話を読んでいただきありがとうございます！！ (2018年9月29日 19時) (
レス) id: 607aafe4eb (このIDを非表示/違反報告)
蒼い薔薇(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の展開には、ウルっと涙腺が緩んでしまいました！この小説を読んで鶴丸がもっっと好きになってしまいました。本当に最高の作品でした。 (2018年9月29日 0時) (レス) id: ac233dda56 (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - 私もいつもコメントを返していただけて嬉しいです！コメントを通して作品の励みにしていただけて、お話できて良かったです！次作を書かれるのならばすごく楽しみです！こちらこそこの作品に出会わせていただいてありがとうございます！ (2018年9月17日 22時) (レス) id: 7d9698e044 (このIDを非表示/違反報告)
夷空斗(プロフ) - 紗衣さん» 紗衣さん、いつもコメントありがとうございます！本当に励まされました！素晴らしい作品と言っていただき、本当に嬉しいです！！最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます！ (2018年9月17日 22時) (レス) id: 607aafe4eb (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - 毎日この話を読むためにこのサイトを開いて更新を楽しみにしていました。完結したのだと知って涙が止まりません…本当に素晴らしい作品でした…。夢主ちゃんと鶴丸が向こうの世界で幸せになってくれればと思います。完結おめでとうございます！この作品が大好きです！！ (2018年9月17日 21時) (レス) id: 7d9698e044 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夷空斗 | 作成日時：2018年9月2日 0時
