第一章 第二十四話 ページ26
少しの間浜辺で言葉を交わした後、フーゴは手続きの為、私はこれからの生活の準備等の為に帰路に就いた。
生活の準備と言っても、生活必需品を買い揃えるのはまた後日やることになったので、自分の両親に暫くイタリアに滞在することを説明するという意味での「生活の準備」だ。
静まり返ったホテルの自室で携帯を取り出し電話帳を開く。
母にダイアルするのが酷く躊躇われる。私がいなくなってから家はどうなっているだろうか、
と想像するだけで心が沈み話す意欲がなくなっていく。
煌々と電話番号を映し出す画面と少しばかり睨めっこすると、やはり一歩踏み出せず文字を打ち込むことにした。
文面で話して何か問題があれば電話で話せばいい、と開き直った後は早かった。
つらつらと事実に虚言を混ぜながら如何にも都合の好さそうな文章を書き連ねていく。別に私に虚言癖があるわけではなく、全く本当のことを馬鹿正直に言うより、多少嘘を混ぜた"良い話"の方が心に響きやすいというだけだ。
イタリアと日本では時差があるため中々スムーズに会話が進まないだろうと予想を立てていたが、意外にも早く完結した。
ちゃんと自分のことを自分で管理できるなら良いと父母両方からの許可が出て、この件に関してはすっかり処理することができた。
後は生活用品か…と思いながらベッドに倒れこみ、イタリアに来てからのことを頭に思い浮かべてみた。
ここに来てから色んなことがあった。本当に。
着いてから初日でイタリア人の友達ができ、一緒に食事に行き、家に行き…。こんなに濃い四日間は今まで過ごしたことがないし、これからも経験する気がしない。もはや修学旅行並みの充実感だ。
彼は、フーゴはこんなに詰め込まれた四日間を経験したことがあるだろうか。
大体彼はギャングだし、良くも悪くも非日常的な日常を送っているだろうからこんなことを考えるだけ徒労に終わってしまうだろうか…。
私はまだ全然知らない。この国のことも、新しく出来た友達達のことも。
これから何が起こるかも、全くわからない。
ふわふわとした物を掴むような感じだけども、体全体でここでの生活を楽しみたい。それだけが私の今の目標だ。
そう決意し、夕飯に向かった。
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淡深雪 肴(プロフ) - fenonさん» コメントありがとうございます。当方多忙の為更新頻度は落ちますが、定期的に皆様にフーゴをお届けできるよう善処いたしますのでこれからも是非ご愛顧下さいませ！ (2020年8月14日 10時) (
レス) id: 0d31e9065f (このIDを非表示/違反報告)
fenon(プロフ) - 本当に私得で大好きです。お気に入りさせていただきました！ (2020年8月14日 9時) (レス) id: 8dce9856e7 (このIDを非表示/違反報告)
淡深雪 肴(プロフ) - 伯さん» 伯様素敵なご感想ありがとうございます。作者がこだわっている点に気づいていただけて喜ばしく思います!! 至らぬ作者でございますが、今後とも本作品をご愛読ください! (2020年5月28日 10時) (レス) id: 0d31e9065f (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - いつも楽しく読んでいます。出会いたての頃は大人びて見えたフーゴくんが、夢主と親しくなるにつれヤキモチやいたり慌てたり照れたりと年相応の一面を見せるようになるのがとても可愛くて好きです。素敵なフーゴくんをありがとうございます、今後も楽しみにしています！ (2020年5月28日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
淡深雪 肴(プロフ) - りんさん» りん様激励のお言葉ありがとうございます。作者のモチベーション維持にも関わりますので本当に嬉しいです…!! より一層精進して参りますのでこれからも是非ご愛読ください! (2020年5月27日 21時) (レス) id: 0d31e9065f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：淡深雪 肴 | 作成日時：2020年5月3日 19時
