フープピアス2 【青】

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ギィーッと古びた扉を開け、奥へ進む。




翔「…っ！よかった」


『…翔太』




見つけた場所にAはいた。




翔「飯、一緒に食っていい？」




買ってきたコンビニ袋を掲げ、適当な場所に腰掛ける。

懐かしいこの感じ。

愛おしい思い出が戻ってくる。




翔「この間は、言い逃げしてごめん。

でも、ほんとだから」


『うん。嘘だとは思ってないよ。

でも、、応えられるかはわからない』


翔「いいよ。今はそれで」





それでいい。少しずつ距離を取り戻せていければ。

康二から、彼氏がいないのは聞いてる。

でも、やっぱり深澤さんとの距離は近いらしい。


そこをどう切り抜けるのかが勝負だ。




『ねえ』


翔「ん？」


『どうして、、ここが分かったの？

会社でもあんまり使われてないし、部署からも遠いし』


翔「…勘だよ」


『勘なの？』


翔「あとは、願ってたからかな」


『願ってた…』


翔「おれにとって、Aとの思い出は全部大切だから。

向こうの旧資料室の時間、おれ大好きだったんだよ」


『…そっか』




ふと微笑むA。

この半年の間にまたひとつ綺麗になった。


これは、ほんとに早くに勝負決めないと

誰かに取られる。


それだけは、ほんとに勘弁なんだ。




『…仕事は楽しい？』


翔「わかんないことだらけだけど、佐久間もいるし

Aの仕事が分かって嬉しいよ。」


『ふふっ、営業さんからそう言って貰えるとやる気が出るね』


翔「やっぱお互いの仕事を知らないと

そこの思いまでは伝えられないしな」


『変わらないね』


翔「そこは、おれのポリシーだから」




お互いに静かに笑い合う。

ああ、心地いい。


この空間、今だけは誰にも邪魔されたくないほど

Aといる時間が愛おしく思う。


触れることは叶わないけど




今はまだ、このままでー…。

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