9話 ページ9
読み終えた後、涙で視界が揺らいだ。何で....どうして?小生は貴女の事を忘れられる筈がない。これ程までにすみれさん。貴女に好意を向けていると言うのに。
夢野「忘れられる訳...ないでしょう?」
有栖川「すみれ...本気かよ...」
飴村「違う、こんなのスミレの本音じゃない!あれ?ゲンタロー、手紙の裏に何か書いてある!」
涙を拭い裏返すと、そこには「助けて幻太郎さん」と、書かれていた。手紙の所々滲んでいた。泣いていたんだ。泣きながら書いていたのか...。
有栖川「絶テェ助けるぞ。すみれを...」
飴村「うん!」
夢野「ええ、」
気を引き締めたその瞬間、乱数が「あっ!」と、何かを思い出したかのように大きな声を出した。
飴村「言い忘れてた事があった」
夢野「何ですか?」
飴村「スミレ別れ際に言ってたんだ。ゲンタローに殺し屋が張り付いてるから、動くに動けないって」
有栖川「殺し屋ァ?」
夢野「何故、そんな物騒な人が...」
飴村「スミレの両親が雇ったんだよ」
確かにと納得した。あの両親ならやり兼ねない。だから、こんな手紙を書いたのかと合点が行った。でも、そしたら此方も動き難いと踏んだ上で雇ったのか...。あの両親は!
つくづく思う。あの両親...、性根まで腐っているとは...。乗ってやりますよ挑発にね。愛する人を助け出せるのなら安いもんです。
夢野「絶対助けますよ。すみれさん」
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作者名:藍原 葵 | 作成日時:2021年12月9日 18時