8話 ページ8
すみれさんの手紙にはこう書いてあった。
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幻太郎さんへ
幻太郎さん、ごめんなさい。本当にごめんなさい。私に手紙なんて書く資格なんてない事も分かってます。ファンレターもこれで最後にします。
でも...でも、これだけは言わせて下さい。私は、幻太郎さんが大好きです。お付き合い出来た事も好きだと告白された時も本当は嬉しかったんです。
もし幻太郎さんが、他の有名人と結婚したら心から祝福するつもりでした。推しの幸せを願うのが本当のファンの務めだと思ったから。
私は、まだ役者の卵で何の取り柄もない大学生です。だから、最初は何かの聞き間違えだ。漫画やドラマの世界だけだ。こんな事...。と、決め付けていました。
幻太郎さんだって、1人の人間で普通に恋をする。その相手が私だったのだと思った瞬間、もう逃げるのを辞めようと思いました。
そうだ、幻太郎さん。聞いてください。初めての友達が出来たんです。中王区で。その子、とても良い子で...。
今はそんな事聞きたくないですよね。ごめんなさい、私も書いてて変かなって思いました。
もう私の事は忘れて下さい...。私も忘れますから。他の女性と、どうか幸せになって下さい。ごめんなさい。
架純坂すみれ
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作者名:藍原 葵 | 作成日時:2021年12月9日 18時