21話 ページ21
「おはようございます。お待たせしてすみません」
社長「おはよう。すみれちゃん、時間通りだし問題ないよ」
小生の隣に座るすみれさんが所属する事務所の社長さんは、すみれさんの高い演技力を認めスカウトし、デビューに向けて働き掛けてくれている方だ。
「...えっと、何で幻太郎さんが...?」
夢野「小生もすみれさんのファンとして会いたくなってしまいましたゆえ、会いに来ました!」
「嘘...ですよね?もし、そうだったとしたら...追い出しますよ?」
夢野「勿論、嘘ですよ。さて、おふざけはこの位にして、すみれさん。貴方にお仕事のご依頼に来ました」
一つの封筒を手にして、椅子に腰掛けたすみれさんに頬笑み掛けた。社長さんともアイコンタクトを交わし、口を開いた。
夢野「実は小生の作品...舞台化が決まりまして」
「...えっ?!絶対に見に行きます。いつですか?いつ?」
目を輝かせキラキラと宝石の様な目で、食い気味に解答を求めて来た。小生が持っていた封筒を、すみれさんに手渡し、その封筒の中身を取り出すと____
「ん?台本...ですか?」
夢野「開いてご覧なさい」
「ええ、...って...嘘」
台本を開いたすみれさんの目から涙が溢れた。...良かった。
社長「良かったね。すみれちゃん、その作品ね主演の役者を探している最中、夢野先生ご本人からの推薦でね」
「本当に...本当に、私が主人公を演じて良いんですか?」
夢野「当たり前でしょう。小生は、いつか小生の作品が舞台化もしくはドラマ化したら、主演はすみれさんと決めていましたから」
「ありがとうございます...。本当にありがとうございます」
泣きながらお礼を言うすみれさんは、本当に嬉しそうだ。やっと、すみれさんと小生の夢が叶ったのだ。作品を完成させるまでが勝負なのだけれど。でも、見たかった笑顔を見る事が出来たのだ。これ程嬉しい事はない。
夢野「すみれさん。お仕事のご依頼受けてくれますね?」
「ええ、勿論...っ」
彼女の美しい笑顔は小生の最大の喜びなのだ。この笑顔を守る為ならばなんでもする。再び、そう心に誓った。
______「思い思われ、嗚呼、好きです〜貴方が中王区に行ってから〜」fin
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作者名:藍原 葵 | 作成日時:2021年12月9日 18時