13話 ページ13
寝る時間となったけれど大きめのベッドが一つしかなく、すみれさんはアワアワした表情で、
すみれ「私が床で寝るので、幻太郎さんはベッドで寝て下さい!」
夢野「それでは、疲れが取れないでしょう。それに、もう小生達は恋人同士です。そういう事があってもおかしくはありませんよ?」
と、揶揄うように言うと林檎のように顔を赤く染めて居た。やはり、いつものすみれさんだと安心した。中王区に来て性格も変わってしまって居たらと、少々不安でもあった。けれど、そんな様子もないみたいだった。
「床で寝ま....す」
夢野「やれやれ、手間の掛かるお姫様ですねぇ」
抱き上げベッドにすみれさんを下ろした。軽過ぎではないかと思うほど軽く驚いた。少し痩せた様にも見える。そんな小生の心配を余所にすみれさんは、
「うぅ、まさか2度も推しと同じ布団に入るとは〜〜」
と、両手で顔を隠し唸り声を上げていた。そう言えば、恋人同士になる前もこうして同じ布団に入ったなと思い出していた。
夢野「ほら寝ますよ。明かりも消しますから」
「...っ、はい」
明かりを消すと頭まで布団を被ったすみれさんの姿が。照れているのだろうか。なんだか、虐めたくなった。
夢野「すみれさーん。小生の方に来て下さいな」
腕を広げて言うとますます縮こまってしまった。布団を引き剥がし、無理矢理引き寄せると、悲鳴を上げられた。
「幻太郎さん!推しと抱きしめ合って寝るとか、新手の拷問か何かですか?!寝れません。絶対に眠れません!」
ポカポカ殴って来たが、あまり痛くはなかった。目の下にすみれさんもクマが出来ていた。あまり寝れていないのだと会った瞬間に悟った。彼女の頭を優しく撫でてやると、暴れていたのがすんなりと止んだ。
夢野「小生がいる時位は甘えても良いんですよ?それに、もう少し甘えてくれないと、わっち寂しくて泣いてしまうでありんす」
「....ちょっと、だけですからね。頭、もうちょっと撫でて欲しいです。寝るまで手も繋いでて欲しいです」
夢野「はいはい、」
やっと甘える気になったか。親に甘えた事の無いすみれさんは、きっと誰かに甘えると言うのが分からないのだろう。これから、沢山甘えて貰わないと。と、彼女の頭を撫でながら密かにそう思った。
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作者名:藍原 葵 | 作成日時:2021年12月9日 18時