思い思われ、嗚呼、好きです

４５話 ページ48

溜息を吐くと幸せが逃げて行くと言うが、それを私は信じていない。理由は特にないけど。溜息を吐いてお茶を飲んでいると、ふわりと良い案が思い付いた。



「レイトショーを観に行きましょう」

夢野「すみれさん、今の時刻分かってます？お昼前です」

「分かってます...。私もそこまで馬鹿じゃないです」

夢野「では何故？」

「夜遊びと言うものをした事がないなと。ずっと縛られて生きて来たので、少しは親に反抗してもバチは当たらないでしょう」



好きでもない服を用意され、好きでもない人との結婚を決められたり、その結婚の人は男装が趣味の女性だったり、花嫁修業だと言われ勝手に習い事を増やされたり、親の人形として生きるのは懲り懲り。折角、家を飛び出せたのだから自由に羽を伸ばしたい。



夢野「それがすみれさんの望みなら叶えましょう。では、映画の時間まで少々近場のショッピングモールで時間を潰しましょうか」

「良いんですか？」

夢野「そう言う約束ではありませんか」



その後、支度をしてから玄関に集合という事になった。急いで、着替えて鞄に必需品を入れ部屋を出た。玄関に着くと、夢野さんが待っていてなんだかいつもと雰囲気が違う。



夢野「すみれさん。では、行きましょうか」

「ええ、...あの...その服は？」

夢野「ああ、これは乱数が...もし、すみれさんとお出掛けに行くならと」



頰を赤く染め顔を逸らす夢野さんは、凄くお美しかった。髪もセットされジーンズと白いロゴ付きTシャツとベージュの長めのコートを着ていた。

なんでも似合うんだなぁ。いつもの、書生の様な服も似合っていたけれど、これはこれでイイ！尊い...っ。素敵過ぎる。

流石、飴村さん！と心の底から思った。デザイナーさんって凄いなぁ。

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