38話 ページ39
泣く泣く有栖川さんは雑巾掛けを続行していた。私はと言うと、夢野さんに腕を引っ張られ仕事場かと思われる、部屋の一室に連れ込まれていた。
「あの....、私は何をすれば」
夢野「ふむ、そうですね...。新作の方は後発売するだけですゆえ、小生を癒しておくなまし!」
「...そうですか。私は、部屋に戻ります」
お巫山戯を言われ、スンと正気に戻った。はぁ、台本でも読んでいれば良かった。癒す?そもそも癒す事自体、何をすれば良いのだか、皆目検討も付かない。部屋に戻ろう...。
部屋から出ようとすると、後ろから夢野さんに抱き留められてしまった。
「ヒィィッ!な、何してるんですか?」
夢野「逃がしませんよ。小生だって、人間なんですよ。労働をすれば疲れます。だから...、癒して欲しいんです」
「無理無理無理」
夢野「そう言って、すみれさん。小生を突き放しませんよね?」
それは、貴方に触れたくないから!推しの肌なんて触ってしまったら、絶対に即死するに決まってる。耳元で囁かれてる時点で死にそうなのに...っ。我慢...我慢よ。私!
夢野「何か言って下さいな」
「だ、抱き締めたら満足...しますか?」
私何言ってんだ!自分で自爆する気なのか?!もう、自分がよく分からない。
夢野「はて、それだけでは足りませんねぇ。貴方からキスをして頂ければ、小生は癒されますよ?」
「....っ?!」
キス?いや、違うよね。私からって、...そんな。無理無理。死んでしまう。
夢野「まぁ、嘘なんですけどね」
「ふぅ...(ボソ 良かった〜」
夢野「む、何をそんな安心した顔をして居るんですか?」
「抱き締めるのもご不満なら、私はこのまま、この部屋を退出します」
夢野「すみれさんも、面白い嘘を付きますね。満足ですよ。キスは、すみれさんと恋仲になれた時に奪うので構いませんよ」
何を言ってるの...!この人は〜〜っ。顔を林檎のように真っ赤にさせながら、彼に抱き付いた。全く、私は何をやって居るのだろうか。抱き締めたら、夢野さんは嬉しそうに抱き締め返して来た。
うぅ、一生分の運を使い切ってしまった気分にかられて居る今この現実から逃げ出したい...。
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藍原 葵(プロフ) - 赤苺さん» コメントありがとうございます!私も夢野さん推しなんですよ!!これからも投稿頑張ります。 (2021年8月31日 8時) (レス) id: 1c76c161ee (このIDを非表示/違反報告)
赤苺 - わー!!! 自分、夢野好きなので嬉しいです!ありがとうございます!!応援しています! (2021年8月30日 20時) (レス) id: b03a20a5e4 (このIDを非表示/違反報告)
藍原 葵(プロフ) - 夏姫さん» ありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです。更新頑張ります。! (2021年8月14日 13時) (レス) id: 1c76c161ee (このIDを非表示/違反報告)
夏姫(プロフ) - こう言った展開好き面白いのも混ざってるから更新頑張れ! (2021年8月14日 13時) (レス) id: 55e6785be2 (このIDを非表示/違反報告)
藍原 葵(プロフ) - うっちゃんさん» わー!!ありがとうございます。嬉しいです!! (2021年8月7日 17時) (レス) id: 1c76c161ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍原 葵 | 作成日時:2021年8月7日 16時